Drug Delivery System
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FOREWORD
OPINION
特集 “組織工学との融合によるDDSの進歩”  編集:西口昭広
  • 小谷 知希
    2026 年41 巻3 号 p. 186-193
    発行日: 2026/07/25
    公開日: 2026/10/25
    ジャーナル フリー

    患部に移植した移植細胞の損失や漏出は、細胞移植治療の最大の障壁である。本稿では、これを解決するバイオマテリアルを用いた細胞デリバリーについて、優れた生体適合性をもつゼラチンやコラーゲンを基盤とした技術を中心に概説する。筆者らは、架橋ゼラチン粒子や加水分解ゼラチンの物性最適化により、心筋や網膜への投与後における物理的な逆流を抑制し、簡便に細胞の生着率を高める技術を実証した。さらに、難治性骨折や変形性膝関節症、特発性脳出血等、標的組織の力学的環境に合わせてコラーゲンの濃度やゲル化機構をチューニングした臨床応用事例を紹介し、疾患に応じた適切な材料設計の重要性を展望する。

  • 長瀬 健一
    2026 年41 巻3 号 p. 194-199
    発行日: 2026/07/25
    公開日: 2026/10/25
    ジャーナル フリー

    難治性肝疾患の新たな治療法として、肝細胞シート移植が期待されている。著者らは、細胞組織を移植する際に、移植組織への血管導入を促進し、効果的な生着を実現するための塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)徐放ナノ粒子を開発した。本ナノ粒子を用いることで、従来は生着が困難であった 肝細胞シートの移植が可能となった。本稿では、このbFGF含有ナノ粒子の設計戦略について概説する。

  • 林 幸壱朗
    2026 年41 巻3 号 p. 200-208
    発行日: 2026/07/25
    公開日: 2026/10/25
    ジャーナル フリー

    本稿では、病変組織の治療と再生を同時に実現する足場ベース drug delivery system(DDS)について概説する。従来の骨組織工学用足場材料は、主として欠損部の空間保持および組織再生を目的としてきたが、感染、炎症、血流障害、骨代謝異常などを伴う複雑病態に対する治療機能は十分ではなかった。これに対し、足場ベースDDSは、抗体、タンパク質、低分子薬剤、機能性無機イオンを局所に保持・徐放することで、病変局所の微小環境を積極的に制御し、治療と再生を統合的に達成する新たな戦略である。特に、マクロからナノに至るマルチスケール構造制御は、細胞浸潤、血管新生、薬剤徐放、細胞応答を規定する上で重要である。筆者らの炭酸アパタイトハニカム足場を基盤とした抗体DDSや銀・銅イオンDDSを例に、複雑病態への応用可能性と今後の展望を論じる。

  • 坂口 勝久
    2026 年41 巻3 号 p. 209-216
    発行日: 2026/07/25
    公開日: 2026/10/25
    ジャーナル フリー

    再生医療および組織工学の発展に伴い、生体内環境を模倣した血管網付き三次元(3D)組織構築 技術が注目されている。特に厚みを有する組織では、酸素・栄養供給のための血管網形成と灌流培養が不可欠である。灌流培養は、培養液循環による物質輸送向上に加え、流体せん断応力を介した血管内皮細胞成熟化を促進する。近年では、マイクロ流体デバイス、3Dバイオプリンティング、オルガノイド、iPS細胞技術などとの融合が進み、高度な血管化組織構築が可能となっている。また、AI・CFD解析やBody-on-a-chip技術との統合により、創薬や個別化医療への応用も期待されている。本稿では、灌流培養を用いた血管網付き3D再生組織構築技術の最新動向について概説した。

  • 髙橋 祐生, 松崎 典弥
    2026 年41 巻3 号 p. 217-225
    発行日: 2026/07/25
    公開日: 2026/10/25
    ジャーナル フリー

    創薬研究や臨床応用において、in vitroでの2D培養とin vivoの薬剤応答の乖離は重要な課題である。本稿では、簡便かつ高度な構造制御が可能な細胞沈降法(CAViTs法・CMF法)による3D 組織モデルの構築と、がん患者アバター等を用いた薬剤評価への応用を概説する。さらにDDS評価への展開として、キャリアの特性による組織浸透性の違いを可視化した事例や、微小環境応答によって発現する抗体薬物複合体の薬効メカニズムの解明事例、ならびに新規併用療法の探索基盤としての有用性を紹介する。最後に、組織工学とDDS評価の融合による機能的精密医療への展望を論じる。

  • 萩原 将也
    2026 年41 巻3 号 p. 226-230
    発行日: 2026/07/25
    公開日: 2026/10/25
    ジャーナル フリー

    オルガノイド技術は創薬や疾患研究における次世代モデルとして期待されているが、従来のオルガノイドは空間情報を欠いた均一環境下で形成されるため、組織極性や物質輸送経路を十分に再現できず、生体内の薬物動態(ADME)評価には限界がある。一方、Organ-on-a-Chip(OoC)は流体制 御や組織間相互作用を再現可能であるものの、多くは二次元培養細胞を基盤としており、立体的な組織機能の再現性に課題を有する。本稿では、細胞配置、細胞外マトリックス、液性因子勾配を工学的に制御することで、形態制御されたオルガノイドを流体チップへ統合する技術について紹介する。さらに、血液脳関門(BBB)-脳腫瘍連関モデルを例として、薬剤の脳内移行性やDDS評価への応用可能性を示す。オルガノイドとOoCの融合は、多臓器連関を再現した次世代創薬基盤として期待される。

  • 山崎 雅子, 橋本 里菜, 高山 和雄
    2026 年41 巻3 号 p. 231-241
    発行日: 2026/07/25
    公開日: 2026/10/25
    ジャーナル フリー

    中枢神経系疾患治療薬の開発において、血液脳関門(BBB)は脳内への薬物移行を厳密に制御するため最大の障壁となり、その強固なバリアや選択的な物質透過性を再現するモデルの確立が重要である。近年、生体に近いBBBの構造と機能をin vitroで再現する生体模倣システム(BBB-MPS)が 注目され、細胞間相互作用や生体内の力学刺激の再現が可能となっている。本稿では、BBB-MPSの構築手法(細胞源やマイクロ流体デバイス設計など)と品質評価法(バリア機能やトランスポー ター活性など)を整理し、神経変性疾患や脳腫瘍、感染症研究への応用例とともに、臨床外挿性やス ループット性といった課題も論じる。

DDS製品開発の最前線
  • 長谷川 崇志, 山下 邦彦, 團野 篤史, 伊賀 弘充, 寺居 和宏
    2026 年41 巻3 号 p. 243-248
    発行日: 2026/07/25
    公開日: 2026/10/25
    ジャーナル フリー

    針を用いないジェットインジェクターは、針刺し事故や穿刺に対する恐怖といった注射針に関連する課題を回避する手段として、古くから開発が進められてきた。さらに、ジェットインジェクションは核酸を生体組織内の細胞へ直接導入し得るという特徴を有し、遺伝子導入技術としても長年にわたり研究が行われている。当社では、火薬の燃焼により発生するガス圧を駆動力とするジェットインジェクター「アクトランザⓇラボ」を開発し、核酸デリバリーデバイスとしての応用可能性を検討してきた。本稿では、本インジェクターの開発経緯および技術的特徴を概説するとともに、核酸デリバリー効果ならびにその応用事例について紹介する。

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