Drug Delivery System
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選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
年頭にあたって
FOREWORD
OPINION
追悼
特集 “DDSの頂をめざして”  編集:小暮健太朗
  • 中村 孝司
    2026 年41 巻1 号 p. 16-22
    発行日: 2026/01/25
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    免疫チェックポイント阻害剤に代表される免疫療法は、がん治療に革新をもたらしたが、その有効性は一部の患者に限られており、多くの課題が残されている。がん免疫療法の課題を解決するための技術として、ナノサイズのキャリア型DDS(ナノDDS)が活用されている。筆者はナノDDSが腫瘍免疫を科学するためにも有用であると考え、「ナノDDSを基盤とした新規がん免疫療法の開発」と「ナノDDSを活用したがん免疫応答メカニズムの解明」の2つを研究の軸に据えている。本稿では、この2つの観点からナノDDSの有用性を実証した研究例を紹介し、がん免疫療法や腫瘍免疫学にナノDDSがどのように貢献できるかについて議論する。

  • 草森 浩輔, 尾花 柊, 板倉 祥子, 西川 元也
    2026 年41 巻1 号 p. 23-33
    発行日: 2026/01/25
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    細胞治療は、自然再生が困難な組織の修復または再構築を可能にする革新的な再生医療モダリティとして注目されている。リンパ節は自然再生が困難な組織の代表例であり、手術や放射線、先天異常などによって一度破壊されると、リンパ節の精巧に組織化された免疫微小環境は自然には再生しない。そのため、二次性リンパ浮腫をはじめとするリンパ系疾患の治療は、依然として未解決の重要課題となっている。近年、DDS技術の応用により、移植細胞の生着性向上、分子放出制御、組織再生、微小環境の調節が可能となり、複雑なリンパ組織の再構築に向けた新たな道が拓かれつつある。筆者らはDDS技術の概念を細胞に適用し、遠心力を利用した人工リンパ組織(CeLyT)を作製することで、マウスに移植後、高度に組織化された機能的リンパ節様組織の再生を実現した。本稿では、リンパ節機能不全とリンパ浮腫の病態、現行治療の限界、そして、リンパ節再生に関する細胞治療とDDS融合技術の展望について概説する。

  • 髙橋 葉子
    2026 年41 巻1 号 p. 34-41
    発行日: 2026/01/25
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    超音波応答性ドラッグデリバリーシステム(DDS)は、外部からの物理刺激を用いた精密な送達制御を可能とし、核酸医薬への応用研究も進展している。とくに、超音波造影剤由来のバブル製剤を基盤とするDDSは、低侵襲性と照射部位特異性を兼ね備え、治療と診断の融合(theranostics)を指向する基盤技術として注目される。筆者らはPEG修飾リポソームを用いた超音波応答性ナノバブル(NBs)を開発し、多様な核酸医薬に適用しうる送達基盤としての有用性を示してきた。本稿では、NBsの設計・高機能化戦略、核酸医薬への応用、およびマイクロ流体技術による均質製剤作製といったこれまでの研究成果を概説する。さらに、theranosticsの実現や疾患・組織特性に応じた照射条件の最適化に資する装置・バブル製剤の統合的開発についても触れ、超音波DDSの性能向上と将来的な高度化に向けた方向性を示す。

  • 安藤 英紀
    2026 年41 巻1 号 p. 42-49
    発行日: 2026/01/25
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    抗体医薬品は主要な創薬モダリティとして発展し、その市場は2030年に約4,945億ドルに達すると予測される。しかし従来の皮下免疫では膜タンパク質などの高次構造抗原に対して抗体誘導が困難であり、長期間を要するなどの課題があった。筆者らはDDS技術を応用し、抗原を封入したリポソームを脾臓に直接送達する新規免疫法「脾臓免疫」を開発した。本法では、PEG修飾リポソームを介して脾臓辺縁帯B細胞に抗原を効率的に提示し、短期間で高力価・高多様性・高親和性の抗体を誘導できる。モデル抗原OVAおよび膜タンパク質ACE2に対して、従来法を凌駕する抗体応答と中和抗体の産生を実証した。本技術は、GPCRを含む膜タンパク質に対する抗体創出を可能にする革新的プラットフォームとして、次世代抗体医薬品・診断薬開発への応用が期待される。

  • 福田 達也
    2026 年41 巻1 号 p. 50-58
    発行日: 2026/01/25
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    血液脳関門などの生体内に備わるシステム、また腫瘍微小環境などの特殊な病態環境は、生体内に投与した薬物やナノ粒子の体内分布や薬効に大きく影響を及ぼすバリアとして立ちはだかる。これら生体内の薬物送達における障壁を克服する術として、炎症応答性などの特性を有する細胞の機能の利用が期待されており、細胞自体の薬物送達担体としての利用や、細胞膜成分のナノ粒子への修飾、細胞外小胞の応用が報告されている。本稿では、中枢疾患治療を目指した細胞DDSに関する近年の動向を紹介し、血液中を循環する細胞、特に好中球を利用したDDS開発の有用性について解説する。また、好中球のがん免疫療法への応用を目指した細胞エンジニアリングシステムの開発に関する筆者らの最近の知見を紹介する。

  • 新居 輝樹
    2026 年41 巻1 号 p. 59-64
    発行日: 2026/01/25
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    多くの固形がんは免疫抑制環境を形成しており、NK細胞や細胞傷害性T細胞などの免疫細胞ががんを攻撃できない。この問題を解決すべく筆者らは、がんに集積してM2型に分極した途端、強い急性炎症を引き起こすTNF-αを放出する遺伝子改変マクロファージ「マックトリガー」を開発した。静脈内投与したマックトリガーはがんを炎症性組織に転換し、生体の免疫ががんを治療する。すなわち、がんの生き残り戦略を逆手に取ったこれまでにないがん治療概念であり、大きな注目を集めている。本稿では、マックトリガーの基礎的特性と今後の展望について紹介する。

  • 稲垣 舞, 立川 正憲
    2026 年41 巻1 号 p. 65-71
    発行日: 2026/01/25
    公開日: 2026/04/25
    ジャーナル フリー

    薬物を標的細胞へ効率的に送達するには、細胞表面および細胞内に存在する標的分子の同定が不可欠であり、タンパク質の発現量や翻訳後修飾などの網羅的なタンパク質情報が求められる。こうした情報の取得にはプロテオミクス解析が有効であり、網羅的定量プロテオミクス技術は次世代DDS技術の開発に貢献すると期待される。本稿では、神経疾患モデルにおけるシナプスタンパク質のリン酸化プロファイル解析を例に、DDS研究におけるプロテオミクス技術の応用可能性について紹介する。

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