2008 年 23 巻 2 号 p. 112-115
分子生物学の著しい発展により感染病原体の特性や細胞のがん化機構の解明が進み,それらの成果が免疫学と結びつくことで,感染症およびがんに対する新たなワクチン戦略の構築と検証が進んでいる.近年,ウイルス感染による発がんを予防するワクチンも開発された.これまでは,疾病の予防薬としてワクチンが用いられてきたが,今後は生体の免疫系の制御による治療用ワクチンも開発されてくるであろう.いまやワクチンは,感染症やがんにとどまらず,さまざまな疾病に対して開発されようとしている.本稿では,ワクチン開発の現状について紹介する.