抄録
新しいDDSでは,ナノ粒子の応用が期待されているが,ナノスケールの粒子の表面エネルギーは著しく大きく,ナノ粒子のまま分散した状態で固体として存在することは困難であり,また,一度凝集すると再分散せず,ナノ粒子としての機能は失われる.一方,経肺投与において気管支や肺胞に送達させるには空気力学径で0.4~5.8 μmの範囲に粒子設計する必要がある.筆者らは,二つの液体流路と二つの気体流路を有する4流体ノズルを装着したスプレードライヤーを用いて,ナノサイズの薬物粒子を内部に分散するマイクロサイズのマンニトール粒子をワンステップで容易に得るナノ粒子化技術を開発し,この粒子を経肺投与することで,難溶解性薬物の吸収性を著しく向上させることに成功した.また,結核治療用経肺投与製剤の開発を試み,肺への送達性,肺における滞留性,肺胞マクロファージによる取り込みなどを検討した.