抄録
生体分子イメージング技術は、薬剤開発における重要な技術となってきている。特にPET(Positron Emission Tomography)は高い感度と定量性、プローブの多様性から、病態の分子医学的把握による疾患診断、薬効評価を可能にし、合理的な薬物送達システム(DDS)の評価を行うことに役立つ。脳は高度な機能と複雑な構造を有し、薬剤や毒物の移行を制限する血液脳関門によって恒常性が保たれている。脳を標的とした薬剤の開発においては、非侵襲的に薬剤の脳内分布を解析可能な分子イメージング技術の必要性が高い。本稿ではPETを用いた血液脳関門における薬剤トランスポーター機能の解析、薬剤の脳内移行の視覚化と薬効評価の例を通して分子イメージングの有効性について概説する。