2015 年 30 巻 1 号 p. 47-53
臨床で幅広く利用される生体イメージングであるMRIに対して、ナノDDSはこれまで、標的化による感度の向上、マルチモダリティ化、環境や外部刺激に応答する反応性の造影剤、そして診断と治療の一体化(セラノスティクス)など多様な応用を前臨床研究にもたらした。また、高分子ポリマー、ナノミセル、炭素素材、PEG化リポソームなど各キャリアの優れた特徴や限界も明らかになりつつある。本稿では、MRIに応用するという視点から、急激な発展を遂げたナノDDSの進歩と問題点を議論し、新しい方向性として注目される反応性造影剤(activatable probe)とセラノスティクスへの応用を中心に最近の動向を俯瞰し、将来を展望したい。