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[特集] “製剤設計における動物種差の問題”  編集:菊池 寛
薬物動態の概日リズムと種差
小柳 悟大戸 茂弘
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2017 年 32 巻 5 号 p. 418-423

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抄録

ヒトを含む哺乳類動物のさまざまな生体機能には24時間を1周期とする変動(概日リズム)が認められる。このような概日リズムの本体は、時計遺伝子群によって構成される転写・翻訳のフィードバックループ機構であり、個々の細胞レベルで各臓器や組織の機能に応じたリズムを発振している。マウスやラットなどを対象にした最近の研究成果から、時計遺伝子はチトクロームP450やトランスポーターの発現にも影響を及ぼし、薬物の吸収や代謝に時刻依存的な変動を引き起こしていることが明らかになってきた。しかしながら、マウスなど夜行性の動物から得られたデータを基に、昼行性であるヒトの薬物動態の概日リズムを推測することは困難であり、この問題を解決するには両種間における制御メカニズムの相違点の解析とその体系化が重要になる。本稿では薬物代謝酵素やトランスポーターの発現における概日変動メカニズムの種差について概説し、夜行性動物と昼行性動物における制御機構の違いについて述べる。

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© 2017 日本DDS学会
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