抄録
本研究は、卵巣がん腹水から作製した患者由来スフェロイドパネルを確立し、卵巣がんの化学療法耐性メカニズムを明らかにすることを目的として行われた。プラチナ系化合物を使用した体系的評価により、スフェロイド間において感受性の違いが確認された。遺伝子発現プロファイリングと化学療法耐性データを組み合わせた統合解析により、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)およびグルタチオン産生酵素がシスプラチン耐性に寄与することが明らかとなった。これらの研究は、患者由来細胞モデルを用いた統合的解析アプローチが、がんの薬物耐性の分子基盤を明らかにするのに有効であることを示唆するものである。