抄録
イブプロフェンピコノール(IPP)やテプレノン(TP)のような油状医薬品を含有する錠剤の調製方法を開発するために, 室温で固体のマクロゴール類のような水溶性高分子で固形化して得た粉末(医薬品-マクロゴール末)と, 水溶性医薬品添加物D-ソルビトールとの混合物を圧縮成形することで錠剤調製を検討した. 医薬品-マクロゴール末中のIPPあるいはTPの最大含量は, 用いたマクロゴールの重合度が大きくなるに従って増大した. 油状医薬品を固形化および粉末化するためにはマクロゴール70000以上の重台度をもつものが適当であった. 種々の重量比で混合した医薬品-マクロゴール70000末とD-ソルビトールとを打錠機を用いて1,000kgfで圧縮成形した. 23%のIPPを含有するIPP-マクロゴール末とD-ソルビトール(重量比4:6および6:4)を用いて, 圧壊強度5kgのIPP錠剤(重量400mg, IPP含量9~13%)を調製できた. 同様に, 重量比が4:6および6:4のTP-マクロゴール末/D-ソルビトール混合物を使用して, 圧壊強度が3~5kgのTP錠剤(重量400mg, TP含量7~9%)を調製できた. マクロゴール類を用いた油状医薬品の固形化と粉末化, つづいて医薬品-マクロゴール末とD-ソルビトールの混合物を圧縮成形する方法は, IPPあるいはTPのような油状医薬品を含有する錠剤の調製に有用である.