抄録
非イオン性物質であるマンニトールのヘアレスラット摘出皮膚透過性に及ぼすエレクトロポレーションの効果を,陽陰の電極の位置,パルス頻度および電極材料をかえて測定した.まず,Ag電極(陽極)を角質層側(donor)に,Ag/AgCl電極(陰極)を真皮側(receiver)に配置したときと,この逆に電極を配置したときのマンニトールの皮膚透過性を比較した.いずれの電極配置でもエレクトロポレーション群では,非通電(コントロール)群にくらべてマンニトールの透過は著しく促進されたが,両エレクトロポレーション群のマンニトール透過に有意差はみられなかった.このことより,イオントフォレシスで報告されているような,convective flowによる促進効果は生じないことが示唆された.また,パルス発生装置のコンデンサー容量を1から25μFとすると透過速度が大きくなり,容量の増加に基づく通電時間の増加が透過促進に関係していることが示唆された.また,同様にパルス頻度を多くすると,通電時間の増加が原因と思われるマンニトールの透過促進が観察された.さらに,マンニトールの皮膚透過性に及ぼす電極位置の影響について試験した.皮膚を挟んで電極を配置した場合と陽極,陰極とも皮膚角質層側にセットした場台で,エレクトロポレーション効果に差はなかった.また,分極(Pt)電極と非分極(Ag/AgCl)電極を用いた場合を比較した結果,どちらの場合もマンニトールの透過はほぼ等しく,エレクトロポレーションでは電極の分極はほとんど引き起こらないか,もしくは促進効果に影響がないものと思われた.以上より,エレクトロポレーションによる薬物透過促進では,電極の位置,材料に影響されない点でイオントフォレシスと大きく異なるが,電圧の適用時間に大きく左右されることではイオントフォレシスと同様であることが明らかとなった.