抄録
20世紀末より導入された分子標的治療は, 悪性腫瘍に対する治療の選択肢として高い期待を持って導入されている. しかし, in vitroで有効と考えられた薬剤も臨床が進むにつれnegative dataを築き, さらには予想されなかった副作用の出現を認めることとなった. 今後, 分子標的の同定とこれに作用し抗腫瘍効果を臨床的に証明するtranslational studyと適切な臨床試験の施行による分子標的薬の開発が重要であり, 分子レベルでの治療, 評価を行える腫瘍内科医の育成は急務といえる.