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粉末状製剤の家兎鼻腔内動態
牧野 悠治西部 義久松木 秀夫西村 芳卓勝山 厳
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2005 年 20 巻 6 号 p. 656-665

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抄録
新規に確立した家兎in vivo鼻腔内薬物動態解析方法で4種の基剤(徴結晶セルロース(MCC), ヒドロキシプロピルセルロース(HPC), 乳糖, ポリスチレン標準微粒子(PP))のフルオレセイン粉末状製剤を投与し, フルオレセインの鼻腔からの吸収と食道への排出を比較した. HPCについては蛍光標識体を用い, またMCCとPPについては画像解析による粒子数測定により, これら基剤3種自身の食道への排出も測定した. さらに4種製剤からのフルオレセインの放出をin vivo放出試験により比較した. これらの結果をもとに, 血中濃度AUCの結果(MCC>PPC>HPCC>乳糖)に及ぼす基剤の効果を考察した. すなわち, 水不溶性のMCCとPPでは, いずれもフルオレセインの吸収が促進されたが, PPが速やかに鼻腔から排出されるのに対しMCCは鼻腔内に滞留した. 有意差はないもののMCCの吸収性がより高かったのは, MCCの粘膜付着性により粘膜上にフルオレセインの局所的高濃度が, より長時間達成されたためと推測した. HPCもMCCと同様に鼻腔内に滞留するが, ゲルが形成されるためフルオレセインの拡散が遅く吸収も排出も少ないと推定される. 一方, 乳糖では速やかに溶解するためフルオレセインの局所的高濃度サイトが生成せず, 速やかに拡散して食道へ排出されたと推定された.
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