抄録
Z世代は時間効率を極限まで追求する一方、推し活には睡眠時間を削るほどの没入を見せる。本稿はこの「タイパの逆説」を、メディア環境の構造変化と社会学者ローザの「共鳴」の概念を手がかりに解明する。まず、検索が担っていた機能が3領域に解体されつつある現象を整理し、Z世代の受動性と能動性の極端な非対称を示した。その上で、効率の追求(防衛)と没入(投資)が独立した行動ではなく、防衛が共鳴のためのエネルギーを蓄え、共鳴への渇望が防衛を駆動するという循環構造をなしていることを論証した。この力学に基づき、「信頼・文脈・効率」の3つのマーケティング戦略を提言する。