抄録
本稿は、令和7年度に公益財団法人食品等持続的供給推進機構が実施した物流生産性向上伴走支援事業(以下本事業という)を素材に、物流現場の改善を実行へ移すための条件を整理する。物流現場では、荷待ち、庫内動線の非効率、在庫滞留、紙伝票、荷役負担などの課題が見えていても、優先順位や関係者調整、投資判断が整理されなければ改善は進みにくい。本事業では、専門家が現場課題の可視化、経営課題への翻訳、改善順序の設計、実行段階への移行を支援した。代表事例を通じて、伴走支援とは現場の暗黙知を共有可能な改善テーマへ変換し、物流担当者の判断と行動を後押しする仕組みであることを示す。あわせて、支援効果を持続させるには、専門家知見の蓄積・共有と制度側の支援基盤強化が必要であることを指摘する。