Dental Medicine Research
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クリニカル・テクノロジー
MRIによる発音時の鼻咽腔閉鎖機能の評価について
―鼻咽腔閉 鎖パターンと口蓋帆挙筋の動きとの関連―
片岡 竜太
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2009 年 29 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

米国ノースカロライナ大学など口蓋裂チームを有する施設では, 鼻咽腔閉鎖不全による開鼻声が認められる口蓋裂児においては, まず開鼻声の程度を定量的に評価し, 言語治療以外に咽頭弁形成術などの外科手術や補綴的発音補助装置を用いた治療が必要かどうかを, 口蓋裂チームで決定する. 治療が必要な場合は, 鼻咽腔閉鎖運動を評価して, 最適な治療を選択する. しかし現在のところ, 鼻咽腔閉鎖パターンまで考慮して, 手術法などを検討している例はみられない. 咽頭弁形成術などによる睡眠時無呼吸症 (OSA) の出現リスクを最小にするためにも, 鼻咽腔閉鎖パターンに応じた治療法の検討が必要である. MRIを用いて発音時の鼻咽腔閉鎖運動を観察したところ, 鼻咽腔閉鎖運動パターンの違いには口蓋帆挙筋の動きが大きく関わり, 軟口蓋が挙上すると口蓋帆挙筋の長軸が鼻咽腔開存部に向かって回転する (タイプA) と平行移動する (タイプB) 2つのパターンがあり, coronalパターンはタイプA, circular with Passavant's ridgeパターンはタイプB, circularパターンは母音発音時はタイプB, 子音発音時はタイプAの運動をする事が明らかになったので報告する.

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© 2009 昭和大学・昭和歯学会
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