2011 年 31 巻 2 号 p. 169-173
従来, 見えない手探りの処置であった根管処置に際して, 近年マイクロスコープが使用され始め, 歯内治療において治療の可視化と精密化が可能となり様々な困難な症例に対して積極的に取り組めるようになった. 根管の探索, 根管内異物の発見・除去, 歯根破折の発見, 穿孔部の発見と封鎖, 外科的歯内療法などが可視化によってより正確に行われ過剰切削や穿孔等の偶発症をなくし低侵襲な手術によって術後の痛みや腫れが減少した. その結果治療の成功率も向上している. また, 拡大された治療画像を記録することによって, 患者に対して現在の患歯根管の正確な状態を示しながら説明することができ, 信頼関係の構築にも役立っている. さらに拡大された根管治療映像を見ることによって今まではわからなかった根管治療の詳細なテクニックや様々な根管の形態を臨床研修医や学生が学べるようになり教育においても重要な役割を果たしている.