2012 年 32 巻 1 号 p. 33-38
現在, 我が国で多く行われている歯周組織再生治療には遮断膜を用いるGuided Tissue Regeneration (GTR) 法とEnamel Matrix Derivative (EMD) を用いた方法がある. GTR法は, 術後の治癒過程において歯肉上皮組織の歯根尖方向への侵入を抑制して組織再生を促す術式で1980年代に発表された. 一方で, EMDを用いる方法は, 歯根形成期に生じる歯周組織の発生過程のうち, 特にセメント質とシャーピー線維の形成の再現を促す治療法で, 組織再生の3要素のうち主に増殖因子に属するものである. この方法は, GTR法では適応しにくかった多数歯にわたる骨欠損の治療が可能となり, また遮断膜をトリミングする複雑な操作が必要ないうえ, GTR法と同等またはそれ以上の歯周組織再生が可能となった.