昭和歯学会雑誌
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頭部および顎関節X線規格写真による新しい機能分析法
側貌頭部X線規格写真, 顎関節側方向X線規格写真およびオトガイ-頭頂方向X線規格写真を用いて
川村 卓也
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1990 年 10 巻 4 号 p. 403-420

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抄録

咬合異常者にみられる顎口腔機能の分析に必要な基準を求めるため, これらに異常を示さない正常咬合群の咬頭嵌合位一中心位 (以下CO-CRと略す) における下顎の偏位の状況を三次元的に比較検討した.方法としては, 側貌頭部X線規格写真, 顎関節側方向X線規格写真, オトガイー頭頂方向X線規格写真を用いた.これらにより以下の結果を得た.1) 側貌頭部X線規格写真による方法では, CO-CRにおける下顎切歯間距離は, 平均値-0.11mm, 標準偏差0.38mmであった.2) 顎関節側方向X線規格写真による方法では, CO-CRにおける穎頭間距離は, 前後的に, 右側で, 平均値0.06mm, 標準偏差0.32mm, 左側で, 平均値-0.03mm, 標準偏差0.40mmであった.上下的には, 右側で, 平均値0.01mm, 標準偏差0.27mm, 左側で, 平均値-0.11mm, 標準偏差0.23mmであった.3) オトガイー頭頂方向X線規格写真による方法では, CO-CRにおける穎頭間距離は, 前後的に, 右側で, 平均値-0.09mm, 標準偏差0.31mm, 左側で, 平均値-0.12mm, 標準偏差0.30mmであった.左右的には, 右側で, 平均値-0.04mm, 標準偏差0.28mm, 左側で, 平均値0.02mm, 標準偏差0.41mmであった.以上の基準値を基に, 実際の症例に関して, 新しい機能分析法としての応用の可能性とその方法を検討した.

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