昭和歯学会雑誌
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顎関節雑音の音響特性に関する研究
-第1報 検出方法の検討-
佐野 司
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1991 年 11 巻 2 号 p. 167-176

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抄録

従来から顎関節雑音の検出方法としては種々の方法がみられるがそれらの方法の妥当性については, 一定の見解が得られていない.そこで, 本研究では音響学的見地より, 外耳道外および内から得られる顎関節雑音信号を分析し, 検出部位の検討を行った.まず予備実験として顎関節雑音を自覚する5名8顎関節を対象として, 外耳道外の3部位 (側頭骨の下顎窩後方上部, 側頭骨頬骨突起上の関節結節前方部および頬骨最前方部) に圧電型加速度ピヅクアップを設置して検討を始めた.その結果, 側頭骨頬骨突起上の関節結節前方部より検出された顎関節雑音信号が時間波形上で最も大きな振幅レベルを示すことが明らかとなったので, この部位を最初の検出器設置部位候補とした.次に, 顎関節症症状を有する2名2顎関節および無症状者2名2顎関節を対象として上記の外耳道外設置部位と外耳道内から検出した顎関節雑音信号のSN比を比較検討した.検出器は外耳道外では圧電型加速度ピックアップ, コンデンサマイクロホンおよびエレクトレットコンデンサマイクロホンを使用し, 外耳道内ではエレクトレットコンデンサマイクロホンを使用した.その結果, 外耳道内でのエレクトレットコンデンサマイクロホンによる検出法が, 広帯域にわたり良好なSN比が得られた.これらの結果から顎関節雑音信号の検出法としては, 外耳道内でのエレクトレットコンデンサマイクロホンによる検出法が最も適した方法であるという結論を得た.

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