昭和歯学会雑誌
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チタン鋳造用イットリア系鋳型材に関する研究
小川 博章玉置 幸道
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1992 年 12 巻 4 号 p. 355-366

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抄録

高温で安定なイットリアを用いて, チタン鋳造用鋳型材としての可能性を検討した.粒度の異なる2種類の高純度イットリア粉末を数種類の結合材により練和し, 硬化時間, 硬化時の寸法変化, 生型および焼成強度, 加熱膨張などを測定した.その結果, 平均粒径10μmの粗いイットリア粉末をイットリアゾル20wt%-ジルコニアゾル80wt%の混合溶液で練和した硬化体が硬化時間, 変形, 強度などの点から鋳型材として最も適していた.また金属ジルコニウム粉末を数%添加することにより数%程度の加熱膨張が得られ, チタンの鋳造収縮を十分に補償できると考えられた.平均粒径2μmの細かい粉末は操作性に劣り, 硬化時に変形やひび割れを伴う大きな収縮が認められた.試作イットリア鋳型材中に鋳込まれたチタン鋳造体は非常に型離れが良く光輝面を呈し表面粗さも小さかった.また, 表面の反応硬化層もビッカース硬さの結果から表層150μm程度に限局していることが認められた.また, 試作イットリア鋳型材を用いて臨床形態を有するチタン全部鋳造冠を鋳造した結果, 鋳放しの状態で良好な適合を示した

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