昭和歯学会雑誌
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歯肉溝浸出液中の酵素活性と臨床的指標との関係について
小溪 徹彦
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1993 年 13 巻 4 号 p. 422-432

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抄録

本研究は歯肉溝浸出液に注目して歯肉炎患者の歯肉溝浸出液の量とその中に含まれている酵素 (LDH, LDHアイソザイム, アルカリ性フォスファターゼ, β-グルクロニダーゼ, アリルスルファターゼ) との関係を検索した.さらに実験的に歯肉炎を起こさせ, 臨床的指標 (プラーク指数, 歯肉炎指数, プロービングの深さ, 歯の動揺度) および歯肉溝浸出液量とその中に含まれている酵素との関係を検索した結果, 以下の結論を得た.1.歯周炎患者のペリオトロン値とLDH活性値およびβ-グルクロニダーゼ活性値の間に正の相関が認められた.2.実験的歯肉炎者においてプラーク指数, 歯肉炎指数, プロービングの深さは経時的に上昇を示した.またGCF量は3週目まで上昇したが, 4週目では低下が認められた.3.LDHアイソザイムは歯周炎患者ではLDH5が全体の約50%を占めた.また実験的歯肉炎者では2週目からLDH5の分画が出現した.4.実験的歯肉炎者ではLDH活性値は1週目に上昇し, 2週目に減少後, 3, 4週目と上昇した.アルカリ性フォスファターゼは1週目に著明に上昇後, 2, 3, 4週目と経週的に減少した.

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