昭和歯学会雑誌
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シリコーン複印象システムによる複模型の寸法精度
下顎部分欠損歯列模型
小西 潔割田 研司菅沼 岳史篠田 浩人福永 秀樹古屋 良一川和 忠治
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1994 年 14 巻 2 号 p. 158-163

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抄録

本研究は, シリコーン複印象システムを用いて金属床製作用の複模型を製作し, その寸法精度を検討することが目的である.Kennedy III級の下顎欠損歯列模型を原型とし, 咬合面, 口腔底に標点を5か所付与した後, レマジル, ウイロジル, デグフォームの3種類のシステムにより複模型を製作して, 非接触式三次元座標測定機により各標点間距離を求め, 複模型の原型に対する寸法変化を三次元的に測定した.その結果, 各標点間距離が, ウイロジルのシステムでは, ほぼ均等にやや大きくなったのに対して, レマジルとデグフォームのシステムは, 水平方向が, ほぼ全ての部位でやや小さくなり, 垂直方向では, かなり大きくなり, 複模型の弧状変形が推測された.これらのことより, ウイロジルのシステムが, 複模型材硬化時フラスコが無いため, ほぼ均等にわずかに膨張したのに比べて, レマジル, デグフォームはフラスコなどの規制により水平方向への膨張ができず, その分垂直方向に膨張し, やや不均一な膨張になったと考えられる.これらのことより, 複模型材硬化時におけるフラスコの有無が, 複模型の寸法精度に大きく影響していることが示唆された.

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