昭和歯学会雑誌
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フィブリン系組織接着剤の歯周組織再生への影響について
大峡 淳
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1994 年 14 巻 2 号 p. 93-102

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抄録

本研究は, 歯周外科手術へのフィブリン系組織接着剤の応用による, 歯周組織再生への影響について実験病理学的に検討した.雑種成犬14頭の下顎両側第3, 第4前臼歯部の頬側歯槽骨を, 外科的にセメント・エナメル・ジャンクションより根尖側に4mm削除し, 骨欠損を作成した.骨欠損作成後, 露出した根面の歯根膜, セメント質を除去した後, 実験群には歯肉弁と根面との間に, フィブリン系組織接着剤を注入し縫合した.対照群には注入せず, 実験群と同様に骨欠損を作成し, 歯根膜, セメント質を除去した後そのまま縫合した.術後2, 4, 8週で屠殺し, 組織学的観察及び形態計測を行った.その結果, 実験群において上皮の根尖側への増殖抑制が, 術後2週から4週で認められた (P<0.05).また術後8週において実験群の新生セメント質が, 対照群に比べ有意に形成されているのが認められた (P<0.005).さらに実験群の新生骨が, 術後8週において対照群に比べ, 有意に形成されているのが観察された (P<0.05).以上の結果より, 歯周外科手術へのフィブリン系組織接着剤の応用は, 歯周組織の再生を促進させることが示唆された.

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