昭和歯学会雑誌
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歯槽骨欠損部における人工骨移植1年後の臨床評価
坂田 純一有島 直子高橋 とし恵松田 幸子桜井 千里塩野目 学鈴木 基之宮下 元長谷川 紘司
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1996 年 16 巻 3 号 p. 224-229

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抄録

初期治療終了後再評価を行い, 骨移植が適応と診断された歯周炎患者34名, 46部位の骨欠損にハイドロキシアパタイト人工骨の骨移植を行った.術前および術後1年目の臨床診査結果の比較および, エックス線写真を用いた術後1年目の移植材残存率について評価した.更に, 前歯部, 臼歯部に分けて比較検討を行ったところ以下の結果を得た. 1) プロービングポケットデプス (PD) は, 術前平均7.2±2.2mmが術後平均3.2±1.2mmに減少した. 2) プロービング時の出血 (BOP) は, 術前69.6%の部位でみられたものが術後23.9%に減少した. 3) 動揺度は術後55.6%の部位で改善し, 悪化したものは認められなかった. 4) 移植材は骨欠損部に, 術後平均80.4% (前歯部89.8%, 臼歯部73.1%) 残存していた.5) 術後のPDおよびBOPの減少は, 前歯部の方が臼歯部よりも大きい傾向を示した.以上のことより, 歯槽骨欠損部にハイドロキシアパタイト人工骨移植材を応用することは臨床症状の改善に有効であった.またこれを前臼歯部に分けて検討すると, PD, BOPの減少, 移植材の残存率は臼歯部よりも前歯部で高い値を示したことから, 前歯部の方がより良好な予後が得やすいことが示唆された.

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