1997 年 17 巻 3 号 p. 191-196
3種類のリテンションビーズ (平均粒径 : 100,200,600μm) を接着させた薄板状ワックスパターン (12×12×0.3mm) を2種類のチタン専用鋳型材 (マグネシア系, マグネシア・アルミナ系) に埋没しチタン鋳造を行い, 鋳造性ならびにリテンションビーズ構造の再現性の評価を行った.遠心鋳造法を用いた場合, どちらの鋳型材を用いたチタン鋳造においても, 0.3mm薄板に対して良好な鋳造性が得られ, リテンションビーズの再現性も良好であった.しかし, リテンションビーズ部のSEM観察とラマン分光分析から, リテンションビーズ間の鋳造体表面に鋳型材の残留が認められ, 特に粒径の大きいリテンションビーズを用いた場合は, サンドブラスト処理を十分施しても完全な除去は困難であった.このため, リテンションビーズを用いたチタンフレームの鋳造では, 鋳型材や鋳造機の選択とともに, 今後清浄な表面のための後処理についても更に検討しなければならないことが認められた.