昭和歯学会雑誌
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山東省に在住する中国人の上顎第二大臼歯における退化現象の数量的解析
宋 文霞近藤 信太郎中島 功柴垣 博一若月 英三
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1998 年 18 巻 2 号 p. 206-213

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抄録

中華人民共和国山東省済南市にある山東医科大学口腔医学部に在籍する男子学生から得られた歯列石膏模型100個体を用いて, 上顎大臼歯の歯冠サイズを計測し, 第二大臼歯における退化現象を数量的に解析した.方法は歯冠近遠心径と頬舌径, 対角線の長さ, 咬頭のサイズ, 咬頭頂間距離をデジタルノギス (0.01mm) によって計測し, 得られた計測値より大臼歯の順位関係と退化指数を算出して個体内における退化の分析を行った.その結果, 第二大臼歯はほとんどの計測項目で第ヅ大臼歯よりも有意に小さい平均値を示した.頬舌径, パラコーンとプロトコーンのサイズの平均値は第二大臼歯の方が第一大臼歯よりわずかに大きかったが, その差は有意ではなかった.変動係数は第二大臼歯の方が第一大臼歯より大きく, サイズの変異が大きい傾向を示した.咬頭サイズの指数から近心にある咬頭は第二大臼歯の方が, 遠心にある咬頭は第一大臼歯の方が相対的に大きいことが明らかとなった.線形判別分析の結果, 第一・第二大臼歯の判別に強く関与したのはハイポコーンの大きさと頬舌径で, ほとんど関与しなかった項目はパラコーンのサイズであった.

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