昭和歯学会雑誌
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フィラータイプによるコンポジットレジンの分類と機械的性質
藤島 昭宏池田 訓子宮崎 隆佐々 竜二
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1999 年 19 巻 1 号 p. 16-24

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抄録

コンポジットレジンのフィラータイプと機械的性質との関連を調査するため, 9種類の市販コンポジットレジンを用いて, フィラー含有量, 反射電子像によるフィラー形態の観察, 37℃水中における破壊靱性試験, 曲げ試験を行い, 以下の知見を得た.フィラー含有量 (wt%) は, 各コンポジットレジンで53~86wt%と大きく異なり, フィラー含有量ならびに反射電子像によるフィラー形態から, コンポジットレジンを高密度充填型, 中密度充填型, 低密度充填型の3種類に分類した.コンポジットレジンの破壊靱性値は, 高密度タイプで1.8~2.0MPa・m1/2, 中密度タイプで1.2~1.4MPa・m1/2, 低密度タイプで0.9~1.1MPa・m 1/2であった.また, 曲げ特性においては, 高密度タイプで比例限55~60MPa, 曲げ強さ150~180MPa, 弾性率15~18GPa, 中密度タイプではそれぞれ40~50MPa, 130~140MPa, 9~12GPa, 低密度タイプでは25~30MPa, 80~90MPa, 4.5~5.5GPaとなり, フィラータイプにより機械的性質が大きく異なっていた.コンポジットレジンのフィラー含有量 (wt%) とフィラー体積率には高い相関性が認められ, さらに破壊靱性値, 曲げ特性値 (比例限, 曲げ強さ, 弾性率) においても, フィラー含有量と高い相関関係が認められた.これらの結果から, コンポジットレジンの機械的性質の変化は, フィラータイプによりフィラー充填量が制限されるために生じ, フィラータイプによるコンポジットレジンの機械的性質の分類が可能であることが認められた.

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