昭和歯学会雑誌
Online ISSN : 2186-5396
Print ISSN : 0285-922X
ISSN-L : 0285-922X
レジン添加型グラスアイオノマーセメントを用いた歯科矯正用接着システムに関する研究
(第二報) セメント材料の諸物性
池田 訓子藤島 昭宏斎藤 茂水本 貴子宮崎 隆柴崎 好伸佐々 龍二
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 20 巻 3 号 p. 327-334

詳細
抄録

矯正用接着システムとして用いられているレジン系セメント (SB), 化学重合型 (FO) および光重合型 (LC) のレジン添加型グラスアイオノマー (RMGI) セメントを実験に用い, 硬化時間の測定, 粉末およびセメント硬化体のSEM観察, 組成分析, 機械的性質の測定を行い, 以下の知見を得た.硬化時間は約4分-6分の範囲であり, 光未照射のLCが最も長い硬化時間を示した.EPMA分析の結果, Al/Si比がFO : 0.68に対しLC : 0.51であり, 粉末組成に差が認められた.SEM観察の結果RMGIセメント硬化体は, 比較的大きなサイズ (10-20μm程度) の粉末間に微粉末が高密度に存在する構造を呈していた.また, FOではセメント硬化体中に分離したレジン構造が観察された.RMGIセメントの機械的性質は, 引張特性, 曲げ特性においてSBよりも低く, 弾性率と破断までの塑性変形量から, SBよりも脆性的材料であることが認められた.これらの特性が, ブラケットのディボンディング時における破断状態, ならびに残留セメントの除去特性に影響を及ぼしている可能性が示唆された.

著者関連情報
© 昭和歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top