2001 年 21 巻 2 号 p. 287-291
銀系無機抗菌剤 (バイカムAK) を混入したリン酸亜鉛セメントの齲蝕原性細菌に対する抗菌性と, その効果の持続性を試験管内発育阻止試験により検討した.その結果, バイカムAKを含むディスクは, 齲蝕原性細菌に対して明瞭な抗菌性を示した.また, その抗菌効果はバイカムAKの含有量に依存して増大した.次に, ディスクの生理食塩水への浸漬実験により抗菌力の持続性を調べたところ, 浸漬7日後も有意な抗菌力が保持されていることが明らかになった.この効果の持続性は5~25wt%のバイカムAKを含有するいずれのディスクに対しても観察された.これらの結果から, バイカムAKの抗菌性はリン酸亜鉛セメントと混和した後も十分発揮され, さらにその効果の持続性から窩洞内プラーク形成の抑制に有用であることが示唆された.