昭和歯学会雑誌
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21 巻 , 2 号
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  • 松田 千春, 高橋 浩二, 山下 夕香里, 丹生 かず代, 大野 康亮, 道 健一
    2001 年 21 巻 2 号 p. 221-229
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    構音運動軌跡と音声信号を同期解析するため, 高速度ビデオシステムとDSP Sona-Graphとを組み合わせた医用動画像解析システム (以下, 本解析システム) を独自に構築した.頭部動揺補正の効果と標点の測定精度を検討した.その後, この装置を用いて健常者および舌・口底再建例各1例の子音/t/産生時の下顎運動軌跡を観察した.結果は次の通りである.1.本解析システムでは, 頭部動揺補正プログラムにより, 頭部の動揺が十分補正されることが確認された.2.不動標点間距離の測定, 標点運動軌跡の測定において高い再現性が確認された.3.舌・口底再建例では/ata/構音時, 最小開口位および子音/t/産生時ともに健常者よりも下顎位は上方に位置し, 左右の偏位量が大きい特徴的な下顎運動軌跡を示した.以上の結果から, 本解析システムは舌・口底再建例の構音時下顎運動軌跡を観察する方法として有用であると考えられた.
  • 大庭 美和子
    2001 年 21 巻 2 号 p. 230-241
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    従来, caries-affected dentinは脱灰作用に対する抵抗性が高いために, 通常のコンディショニングではハイブリッド層の形成が不完全となり, より強力な酸によるコンディショニングが必要であると考えられている.しかしながら, EDTAによりコンディショニングをした後に, GMによるプライミングを省略した場合, これら硬化象牙質では正常象牙質に比較して接着性の劣化の程度が軽微となることから, これら臨床的に修復を要する象牙質はすでにプライマー処理をされた状態に匹敵した性状を有し, 接着に適した被着体であると推測された.本研究では, このようなcaries-affected dentinおよび健全象牙質の接着界面の微細構造を, 走査電子顕微鏡 (以下SEM) により観察し, 比較検討した.今回の観察結果から, caries-affected dentinでは, 通常細管が沈着物により閉塞され, 接着操作後にも細管内深部へのレジンタグの形成が観察されなかった.これは, 細管内沈着物が単に生体防御に有効であるのみならず, 接着界面への水分の上昇によるレジンの接着阻害作用を排除するために極めて効果的であると推測された.さらに, caries-affected dentinにおいて, 酸処理を省略し細管内にレジンタグが形成されなくとも, コンポジットレジンの辺縁適合性の劣化にはつながらないと考察された.
  • 内藤 貴美子, 堤 定美, 若月 英三
    2001 年 21 巻 2 号 p. 242-248
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    咬合習癖が頚・肩部の不快症状及び脊柱の側蛮の誘因になると言われている.そして, 歯牙欠損や補綴物の不適合などにより生じた咬合異常により, 片側に強い咬合力が作用する場合があり, また頭頚部, 肩部に不定愁訴を訴える場合, 正常者に比較して頚椎の弯曲が有意に大きいという報告もある.頚椎が弯曲すると, 全身にその補正作用が働き, 頚椎以下の胸椎, 腰椎等にも弯曲が生じ, 全身の各部に疼痛や凝り, 痺れが発現するものといわれている.片側に強い咬合力が加わることにより, 作用側の胸鎖乳突筋や僧帽筋の上部筋束に, 反対側に比して大きな電位が生じることが, 電気生理学的に証明されている.近年, MADYMO (TNO-MADYMOジャパン株式会社) という動的挙動解析ソフトが工学の分野で用いられている.MADYMOは, 剛体モデルとフレキシブルモデルの組み合わせで出来ており, それらは様々な関節によって繋がれているマルチボディシステムをベースに幅広いダミーモデルを利用することにより, 人体の運動という動的システムをモデル化することが出来る工学ソフトウェアであり, マルチボディ技術と有限要素技術とを強力に統合した汎用性の高い動的挙動解析ソフトである.今回, 片側咬合による脊柱の変化を知るために, このMADYMOを用いて, 擬似的脊柱モデルを作成し, 咬合異常における脊柱の3次元的歪みをシミュレーションしてみた.その結果, 片側の胸鎖乳突筋または僧帽筋に負荷を加えた場合, 頭部が作用側に傾き, 頚椎・腰椎は反対側, 胸椎は作用側に突弯することが示された.このことは片側咬合によって, 片側に強い咬合力が加わることによって, 作用側の胸鎖乳突筋や僧帽筋に, 反対側に比して大きな電位が生じることにより, 頭部の重心の偏位を受け, 身体が平衡バランスを保つための補正作用が働くために, このような脊柱に弯曲が生じたものと考えられた.この結果から, 習慣的に強い片側咬合を有する人では, シミュレーションに示されたような, 脊柱を湾曲させる力が絶えず加えられるために, 脊柱に側弯が生じるものと考えられた.
  • 塩谷 祐治, 松井 義郎, 田村 明香, 劉 維賢, 大野 康亮, 道 健一, 立川 哲彦
    2001 年 21 巻 2 号 p. 249-258
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    本研究は放射線照射後, 晩発性障害を生じたラット脛骨に形成した骨創の治癒に対するrhBMP-2の効果を明らかにすることを目的とした.実験には, 40匹の雄性Wistar系ラットを用いた.まず15Gy, あるいは30Gyのライナック1回外照射を右側下肢に行った.なお左側は非照射側とした.照射3か月後, 脛骨近位骨端部に骨欠損を形成し, 緩衝液のみを添加した担体を移植した群を対照として, rhBMP-2,100ng, 1μg, 2μgをpoly D, L-lactic-co-glycolicacid/ゼラチン複合体の担体に添加して移植した.移植2週間後, 創の治癒を組織学的に検討し, あわせて骨ミネラル含有量 (Bone Mineral Content;BMC) をperipheral Quantitative Computed Tomographyにより定量的に評価した.その結果, 晩発性障害を生じた放射線照射骨の骨創治癒に対するrhBMP-2の効果について次の結果を得た.1.BMP投与により, 15Gy, および30Gyの両照射群とも骨形成が促進された.2.両照射群では非照射群に比べ, BMPの増量効果は乏しかった.3.30Gy照射群ではBMPを投与しても担体中央部から外側辺縁部の骨新生は, 非照射群および15Gy群に比べ少なかった.以上のことからrhBMP-2投与は, 晩発性障害を生じた放射線照射骨に形成した骨創の治癒を促進するが, その程度は非照射群には及ぼないことが明らかとなった.
  • 本宮 勇人
    2001 年 21 巻 2 号 p. 259-266
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    近年ティシュ・エンジニアリングの技術の進歩により, 培養細胞の移植を用いた組織再生に関する研究が数多く行われるようになった.しかしながら, 生体内への培養細胞の移植は一般的に移植場となる組織の構成細胞と同種の細胞を用いるために, 移植細胞が生体内で生着, 増殖, 分化しているかは不明である.そこで本研究は, 移植した培養細胞が生体内で生着し得るか否か, また, 緑色蛍光タンパク質 (GFP) が移植細胞の細胞標識マーカーとして有効であるかどうかを明確にすることを目的として, その遺伝子を導入した培養歯根膜細胞を骨組織中に移植し, 移植場での経時的な細胞動態に関する形態学的な検討を行った.ウィスター系ラットの上顎切歯歯根部か皇得た歯根膜培養細胞にGFP遺伝子を導入し, この培養歯根膜細胞をコラーゲンゲル内にて三次元的に培養した.歯根膜細胞含有ゲルをラット頭蓋に移植し, 0日, 1日, 3日, 5日, 7日, 14日, 21日, 28日後に屠殺した.その後, 通法に従い凍結標本を作製し, 生体内でのGFP導入歯根膜細胞の動態を組織学的に観察した.GFP遺伝子導入細胞とGFP遺伝子非導入細胞を移植した両群において, 骨組織の新生量に有意な違いは認られなかった.また, GFP遺伝子導入細胞群は全ての実験期間においても蛍光顕微鏡により観察できることから, 移植細胞におけるGFP遺伝子の導入は移植細胞の動態を観察する上で有効な細胞標識の手段になり得ることが示唆された.
  • 木村 江美子
    2001 年 21 巻 2 号 p. 267-278
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    唾液中のラクトフェリン濃度を測定するために競合的ELISA法を構築し, その方法を用いて測定したところ, 健常者では7.72±3.74μg/ml (平均値±1標準偏差), 部分歯牙欠損を有する歯周炎患者では25.42±14.25μg/ml, 無歯顎患者では9.47±5.48μg/mlであり, 健常者, 無歯顎患者に対して歯周炎患者ではp<0.01で有意に高値であった.唾液中ラクトフェリン濃度はトランスフェリン濃度とはr=0.318, 白血球数とはr=0.483, プロービングデプスとはr=0.582といずれも正の相関が認められた.唾液中タンパク濃度は健常者では63.1±24.4mg/dl, 歯周炎患者では108.8±64.8mg/dlであり, 有意差はないが歯周炎患者の方が高値傾向にあった.セルロースアセテート膜電気泳動法と銀染色法により唾液中のタンパク分画の測定を行ったところ, 健常者ではIgA分画は濃染されたがアルブミン分画が薄く, またその位置に2~3本のバンドが見られた.一方, 歯周炎患者ではIgA分画の他にアルブミン分画が濃染された.また同じ歯周炎患者の歯國溝滲出液のタンパク泳動像は, アルブミン分画が濃染され, 唾液タンパクと類似した泳動像が得られた.これは, 歯周組織の炎症により微量の歯肉溝滲出液が唾液中に放出するためと考えられた.本研究から唾液中のラクトフェリン, およびアルブミンは歯周疾患の活動性を示す有用な炎症マーカーと成りうる可能性が示唆された.
  • 薄井 俊朗, 槇 宏太郎, 柴崎 好伸
    2001 年 21 巻 2 号 p. 279-286
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    上下顎骨に著しい不調和が認められ, 矯正治療単独では良好な咬合関係と審美性を獲得することが難しいと診断される症例では, 外科的矯正治療が適用される.本法では, 顎骨の離断によって短期間に上下歯列の相対的位置関係が大きく変化するため, 術前後における咀嚼筋群による牽引の力学的作用も相当量変化するものと考えられる.そして, 治療後の咬合の安定性と筋機能の適応とは深く関連していることから, このような劇的な変化をともなう治療においては, 治療前後の機能面における評価も重要であるものと考えられる.そこで, 本稿では, 治験例について術前後の筋電図解析結果に考察を含めて報告する.本症例は反対咬合の改善を主訴に来院し, 成長発育終了まで通常の咬合管理を行ったが左右非対称の下顎の過成長を示し, 成長終了後に外科矯正治療を適用したものである.初診時のセファロANB計測値が-4.0度から, 成長発育終了後 (術前矯正開始時) には-7.7度まで増加したが, 術後矯正終了後には-1.7度まで改善され, 動的治療終了後1年を経過した後も咬合状態および顔貌ともに良好な結果を得ている.下顎の左右非対称性の成長のため外科的移動量は, 右側13mm, 左側9mmであった.また術前の左側側頭筋前腹, 側頭筋後腹, 咬筋の総筋電図積分値は8.82であり同様に右側は8.78であった.一方術後の左側総積分値は12.56であり, 右側は14.53であった.これらの結果から, 術後の積分値は術前と比較して筋活動性の上昇が認められ, 優位筋および各筋筋活性比率も変化を示した.
  • 池田 祐子, 五十嵐 武, 後藤 延一, 宮崎 隆
    2001 年 21 巻 2 号 p. 287-291
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    銀系無機抗菌剤 (バイカムAK) を混入したリン酸亜鉛セメントの齲蝕原性細菌に対する抗菌性と, その効果の持続性を試験管内発育阻止試験により検討した.その結果, バイカムAKを含むディスクは, 齲蝕原性細菌に対して明瞭な抗菌性を示した.また, その抗菌効果はバイカムAKの含有量に依存して増大した.次に, ディスクの生理食塩水への浸漬実験により抗菌力の持続性を調べたところ, 浸漬7日後も有意な抗菌力が保持されていることが明らかになった.この効果の持続性は5~25wt%のバイカムAKを含有するいずれのディスクに対しても観察された.これらの結果から, バイカムAKの抗菌性はリン酸亜鉛セメントと混和した後も十分発揮され, さらにその効果の持続性から窩洞内プラーク形成の抑制に有用であることが示唆された.
  • 薄井 智美, 土屋 玲子, 山本 剛, 前田 由紀子, 入江 太朗, 田中 憲一, 道 健一, 立川 哲彦
    2001 年 21 巻 2 号 p. 292-294
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    歯肉嚢胞は歯肉に発生する小嚢胞で, 乳児に生ずるものと成人に生ずるものに分けられる.成人の歯肉嚢胞の発生頻度は少なく, 好発部位は下顎の犬歯及び小臼歯の唇側, 付着歯肉あるいは歯間乳頭に発生する.今回, 我々は28歳男性の上顎中切歯部歯肉に発生した歯肉嚢胞の一例を経験したので報告する.
  • 水上 美樹, 臼田 祐子, 平塚 薫, 早川 かつ枝, 細野 純, 佐藤 甫幸, 向井 美惠
    2001 年 21 巻 2 号 p. 295-301
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
    人口64万人をかかえる東京都大田区では, 平成7年度から8年度の2年間, 福祉部に在宅介護推進室を設置し, モデル地区を設けた.ここでのモデル事業は, 保健と福祉を統合した事業展開を行うことが目的であった.モデル事業内での調査結果は, 1.在宅での介護力の低さ, 2.機能に適した食形態が摂られていない.3.寝たきり度の低下にともない嚥下機能に問題を持つ者の割合が高くなる, など食生活にかかわる問題点が多いことが示唆された.そこで, 平成9年度から保健と福祉を統合したサービスを全区展開する中で歯科衛生士は, モデル事業の調査結果から, 「食生活にかかわるサービス」のシステムをつくった.このサービスは, 他職種, 他機関と連携しながら始まったもので, 今回はモデル事業の実態とともにサービスシステムとサービス開始時の実態について報告する.
  • 2001 年 21 巻 2 号 p. 302-308
    発行日: 2001/06/30
    公開日: 2012/08/27
    ジャーナル フリー
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