昭和歯学会雑誌
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ストレインゲージを用いた歯列モデルにおける矯正力の定量的計測
種々のワイヤー形状によって発生する矯正力の特徴について
宮崎 芳和槇 宏太郎薄井 俊朗柴崎 好伸李 元植宮崎 隆
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2002 年 22 巻 2 号 p. 96-112

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抄録

様々な形態のアーチワイヤーを歯列に適用した際の矯正力の分布を把握する目的で, 真鍮棒とストレインゲージを用いた歯列モデルを製作し, 定量的な矯正力の計測を行った.計測方法は, 同一モデル上に (1) 左右対称なプリフォームのステンレススチールワイヤー, (2) 第二大臼歯部に5°のtoe-in bendを加えたもの, (3) 第二大臼歯部に8°のtip-back bendを加えたもの, (4) 第一大臼歯部に8°のcrown lingual torqueを加えたもの, (5) 前歯部に1 mmのstep bend (圧下) を加えたもの, の5種類のアーチワイヤーを適用した際の真鍮棒の歪みを測定し, 荷重への換算を行った.ワイヤーのサイズは016"×016", 016"×02211,017"×025"のものを用いた.さらに, 各ブラケットにかかる荷重の大きさを算出し, 歯根表面積の平均値をもちいて単位面積あたりの矯正力の大きさを算出した.実験結果から, 矯正力の分布はアーチワイヤーの形態と, 隣接するブラケットの位置関係とによって決定されることが示された.ワイヤーに加えた屈曲は, ワイヤーサイズによって一定の効果を示さなかった.また, 単位面積当たりの矯正力は最大で2026.2mN/cm2であった.以上の結果から, 矯正臨床上好ましい効果を発現するように, ワイヤーのサイズ選択には注意が必要であることが示唆された.また, 矯正臨床において, 至適矯正力よりも大きな力が適用されていることが明らかになった.

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