昭和歯学会雑誌
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光重合型レジンから唾液中に溶出するビスフェノールAの酵素免疫測定を用いた検出
片山 繁樹宮谷 信太朗芝 〓彦塚崎 弘明岩佐 文則若林 克敏
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2003 年 23 巻 4 号 p. 269-273

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抄録

ビスフェノールA (以下BPA) はエストロゲン活性を有す内分泌撹乱物質の1つであるが, 光重合型レジン材料中にこのBPAを出発原料とした化合物が含まれているものがある.この光重合型レジン材料を口腔内に使用すると, この化合物由来のBPAが唾液中に溶出してくることが考えられる.そこで本研究では, 多数検体の同時直接測定が可能な酵素免疫測定法 (ELISA) に注目し, まずBis-GMAベース光重合型レジンから唾液へ溶出した溶出液を高速液体クロマトグラフィー (以下HPLC) にて分画, 分取を行いELISAを用いて測定を行い, BPA様免疫活性物質からBPAの同定を行った.その後, 光重合型レジンを用いて口腔内に再蒸留水20mlと共に30秒間含ませた後, 再蒸留水と唾液を全量採取し, 唾液中に溶出してくるBPAをELISAを用いて測定を行った.その結果, 全ての含嗽液から極微量ではあるがBPAの溶出が確認された.また, その溶出量は開始直後から認められ, その後5分まで増加傾向を示し, 10分後には減少傾向が見られた.

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