昭和歯学会雑誌
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形成期歯槽縁における軟骨様骨細胞の立体超微形態学的研究
大草 信人高橋 修江川 薫瀬川 和之
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1988 年 8 巻 2 号 p. 221-226

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抄録

胎児の顎骨の歯槽縁に形成される軟骨様骨細胞を, 塩酸・コラゲナーゼ法と, 低濃度四酸化オスミウム溶液で細胞内小器官を露出させるODO法とによって処理して, 軟骨様骨細胞の表面形態と細胞内小器官の立体超微形態を, 高分解能の走査電子顕微鏡を用いて観察した.軟骨様骨組織は軟骨細胞様の微細な突起を有するさまざまな形態の細胞と豊富なコラーゲン細線維とによって構成されていた.軟骨様骨の中央部の典型的な軟骨様骨細胞は多面体形で, 細胞の周囲には微細な突起を備えていたが, 隣接細胞との突起による連絡は観察されなかった.また, 細胞質は主に粗面小胞体, ミトコンドリアなどの細胞内小器官によって構成されていることから, 軟骨様骨細胞は基質形成に関与する細胞であることが示唆された.軟骨様骨組織の頂部, 唇, 頬側および舌側の表層には, 骨芽細胞様の細胞が歯胚側には, 一様な方向性を示す扁平な線維芽細胞様の細胞が認められ, いずれの細胞も細胞質突起は少数であった.軟骨様骨組織と通常の骨組織との移行部には, 細胞質突起は少ないが幼若骨細胞様の豊満な細胞が存在していた.軟骨様骨組織の細胞間基質を形成する不規則なコラーゲン細線維は, 軟骨様骨細胞によって添加されるものと考えられる.

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