日本皮膚科学会雑誌
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全身性強皮症東京都認定患者を対象とした疫学調査―第3報―患者の性別に基づいた解析―
玉木 毅竹原 和彦森 俊二
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1992 年 102 巻 14 号 p. 1759-

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抄録

東京都において昭和62年度に特定疾患として登録されている全身性強皮症患者を対象に疫学調査を行い,357名分の患者データを得た.本報告では,3種の特異抗核抗体に着目した前々回の報告,Barnett分類に基づいた前回の報告に続いて,患者の性別に基づいた解析を行った.その結果,①診断病型において男性群にType3,PSS疑い例,そして最終的にPSSやMCTD以外の疾患と診断された例が有意に高率であった.②症状・検査所見の各項目では男性群において女性群よりも高率であるものが多く,また,特異抗核抗体の陽性率が低い傾向が認められたが,統計学的には心病変・肺高血圧,尿検査の項目以外には有意差を認めなかった.③男女別にType3の症例のみを抽出したところ各種症状には有意差が認められなかったが,特異抗核抗体において,男性のType3では,有意に抗U-1RNP抗体の陽性率が高かった.今回の解析では男性の全身性強皮症に,やや非定型的な重症例が多い傾向を認めたと言えるが,症例数が少ないために,統計学的な有意差の検出がマスクされていると考えられ,さらに多くの男性例の集積と検討が必要と考えられた.

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© 1992 日本皮膚科学会
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