アトピー性皮膚炎の治療で外用療法が上手くいかない場合,原因として薬剤の選択ミスや塗布方法の誤り,患者の治療継続意欲の低下が挙げられる.治療効果を高めるためには,薬剤の用量・塗布頻度・塗布範囲について具体的に指導することが不可欠である.さらに,治療目標の共有や治療計画の説明,励ましを通じて信頼関係を築くことで,患者の理解と実行力が高まり,結果として治療アドヒアランスの向上が期待できる.
アトピー性皮膚炎患者はストレス感受性が高く,心身医学的アプローチによる治療が必要となる状況が多い.困ったことがあり来院していることを前提に,積極的傾聴を行い,患者の苦痛を理解するとともに問題点を見出し,対応法を検討する.その際に,患者の気質,生活背景などをよく知ることが重要である.同時に,通常の皮膚科診療技術も重要であり,両者を併せることで相乗効果が得られ,良い治療効果を得ることができる.
緩解導入療法中にCMVpp65抗原検査を行った自己免疫性水疱症患者88例を後ろ向きに検討した.CMV再活性化は52例でみられ,1例を除き全例で検査した2016年6月以降でも59例中34例と高率だった.CMV再活性化は65歳以上,ステロイド初期投与量の多い患者,BMIの低い患者,入院2週後のリンパ球数低値および好中球リンパ球比高値の患者に多かった.CMV再活性化の有無で死亡率に差はなかった.自己免疫性水疱症において,リスクに応じたCMV再活性化の監視と適切な治療が生命予後の悪化を防ぐ可能性がある.
37歳男性.19歳から毎日のようにバイクに乗車している.初診3カ月前より臀部に環状褐色斑が多数出現した.個疹は米粒大~ウズラ卵大で,辺縁が軽度隆起していた.臀裂部に沿って左右対称性に縦列し,肛門に向かって融合傾向で,搔痒性紅斑を伴った.生検でcornoid lamellaがあり,臀部に限局する汗孔角化症の稀な亜型であるporokeratosis ptychotropicaと診断した.末梢血からMVK遺伝子の病的バリアント(c.677G>A)を認めた.これに加え,バイク乗車による臀部の慢性刺激によりporokeratosis ptychotropicaを発症した可能性を考えた.
Onychopapillomaは手また足の指の遠位爪母および爪床上皮に発症する原因不明の過角化および乳頭腫形成の稀な良性腫瘍である.爪甲の変化は,紅色線条と爪甲下の角質増殖だが,紅色以外に白色や褐色線条もあり,今回,褐色線条様所見を呈した症例を経験した.その横切り切片で病理組織を検討した結果,爪母から爪床にかけて表皮突起の延長による乳頭腫症と爪甲下角質増殖がみられた.褐色線条部の免疫染色の結果はヘモジデリンであった.過去に横切り連続切片で病理学的に検討した報告は少なく,本症の本態解明の一助となることを期待する.