日本皮膚科学会雑誌
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老化モデルヘアレスラットにおける真皮コラーゲン,酸性ムコ多糖およびエラスチンの生化学的分析
桜岡 浩一
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1992 年 102 巻 4 号 p. 425-

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抄録

5週,6週,23週,24週および28週齢の特殊老化モデルヘアレスラット(石橋ラット)の背部皮膚より真皮を分離し,真皮単位乾燥重量当りの老化過程におけるコラーゲン,酸性ムコ多糖およびエラスチン量の変動を検討し,以下の結果を得た.1.真皮コラーゲン(ヒドロキシプロリン量)は,老化にともない約21.9%(p<0.05)減少していた.また,コラーゲン中,老化に伴うⅢ型コラーゲンの占める比率の変動に有意差は認められなかった.2.酸性ムコ多糖の総量(ウロン酸)は,老化過程における有意差は認められなかった.酸性ムコ多糖の成分ではデルマタン硫酸含量は不変であり,ヒアルロン酸含量も統計学的検定にて有意差は認められなかった.3.エラスチン含量は,イソデスモシン量で測定したところ,老化過程と共に約36.8%(p<0.05)減少していた.以上の結果,石橋ラットの老化に伴う真皮結合組織の変化は,コラーゲンおよびエラスチンが減少し,酸性ムコ多糖はほとんど変動しない事が判明した.これらの結果は過去の老化に関する報告とほぼ一致し,石橋ラットは老化のよいモデルになると思われた.また,酸性ムコ多糖に比べて,コラーゲンは21.9%,エラスチンは36.8%とそれぞれ減少していたので,この両者,とりわけエラスチンの減少が皮膚真皮の老化の最も良いマーカーとなり得ると考えられた。

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© 1992 日本皮膚科学会
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