日本皮膚科学会雑誌
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コルヒチンの奏効した後天性表皮水疱症
冨高 晶子松永 佳世子入野 洋子鈴木 加余子田中 俊宏駒井 礼子橋本 隆
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2000 年 110 巻 14 号 p. 2207-

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抄録

症例は78歳,女性.1986年,左下腿に水疱が出現し,徐々に全身に拡大したため近医を受診,臨床症状,組織学的所見および蛍光抗体直接法より水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)と診断されステロイド剤内服による治療を受けた.一時軽快したが,その後再び水疱新生が急増したため,1996年5月当科を受診.当科でも当初はBPと考え,ステロイド剤,シクロスポリン,ニコチン酸アミド,ミノサイクリンなどで加療したが水疱新生は続いた.1996年10月よりコルヒチン0.5mg/日を追加投与したところ皮疹はやや軽快し,1.5mg/日に増量したところ,水疱新生を認めなくなった.また,水疱治癒後に生じていた肥厚性瘢痕も平坦化した.その後,蛍光抗体間接法および免疫プロット法を施行した結果,自験例を後天性表皮水疱症(epidermolysis bullosa acquisita:EBA)と確定診断した.EBAは治療に難渋する症例が多いが,自験例においてコルヒチンが著効したことから,EBAの治療に試みる価値のある薬剤と考え報告した.さらに,本例のEBA抗原のエピトープの部位を免疫プロット法により解析したところ,Ⅶ型コラーゲンの290kD蛋白には反応せず,非コラーゲン領域(以下NC)1領域およびNC2領域の両方に反応した.

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© 2000 日本皮膚科学会
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