抄録
2003年1月1日から2012年12月31日までの10年間にみやぎ県南中核病院で加療した65歳以上の水疱性類天疱瘡症例52例を対象とし,高齢の水疱性類天疱瘡患者の生存期間と生存期間に影響するリスクファクターを明らかにするためにretrospectiveな検討を試みた.平均年齢は84.3歳(中央値84歳,68~96歳),男性23例(44.2%),女性29例(55.8%)であった.1年後の死亡率は39.1%であり,84歳における日本人平均死亡率と比較すると死亡リスクが約5.8倍高かった.交絡因子を調節した多変量解析により,男性であることは約5.6倍,水疱新生数が多いことは約11.6倍,血清クレアチニン値が高いことは約29倍患者の死亡リスクを有意に増加させ,また初診時年齢が高いことは約3倍,BP180抗体価が高いことは約2倍患者の死亡リスクを増加させる傾向がみられた.海外からの報告との比較を中心に,結果を考察した.