日本皮膚科学会雑誌
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症例報告
ニコランジルによる難治性口腔潰瘍の1例
杉山 沙織藤山 幹子宮脇 さおり佐山 浩二
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2016 年 126 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

86歳,男性.狭心症に対し11年前よりニコランジル(シグマート®)7.5 mg/日を内服していた.2年前より頬粘膜にびらんが,4カ月前より上下口唇に血痂をつける疼痛のある潰瘍が出現し治療に抵抗性であった.ニコランジルを中止したところ,3週間以内に頬粘膜のびらん,口唇の潰瘍はすべて上皮化した.ニコランジルが難治性口腔潰瘍を含む粘膜障害を生じることは,皮膚科領域では十分に認識されていない.粘膜の難治性の潰瘍においては,ニコランジルの関与も疑い,既往歴および内服薬の詳細な問診を行うことが必要である.

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© 2016 日本皮膚科学会
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