2024 年 134 巻 8 号 p. 2085-2096
70歳男性.潰瘍性大腸炎あり.3年前より流涙と皮膚のびらんが出現.治療に難渋するため当科紹介.四肢,体幹に色素沈着とびらんが散在し,臍窩には浸軟した隆起性局面,眼瞼結膜にびらん,口腔内に敷石状病変を認めた.病理組織像は表皮の不規則な肥厚と,表皮直下の浮腫,好酸球と好中球の稠密な浸潤.前医の生検組織では蛍光抗体直接法で表皮基底膜へのIgG,C3の沈着と,表皮細胞間にIgAの沈着を認めたが,当科の生検組織では陰性.ジアフェニルスルホン内服が奏効した.血清学的な解析を交え,他疾患との鑑別についても考察した.