日本皮膚科学会雑誌
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鶏胚の網膜色素上皮におけるメラニン形成過程の電子顕微鏡的研究
広根 孝衞
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1964 年 74 巻 6 号 p. 317-

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抄録

脊椎動物におけるメラニン色素の形成について,最近までに明らかになった事項および仮説は次のようである.人および哺乳動物の表皮ならびに毛母の正常のメラサイト内のメラニンは,電子顕微鏡的には,ほぼ楕円形の電子密度の高い顆粒として現われる.未熟なメラニン顆粒の内部には平行に走る層状または結晶格子状構造が認められる.これらの未熟なメラニン顆粒がゴルジー野のあたりの小胞内に見いだされる所見から,Birbeck & Barnicotはメラニン形成の場所をゴルジー野と考えた.Dalton,Wellingsらは,人およびマウスの悪性黒色腫の電子顕微鏡的研究から,上の説に賛成した.Weissenfelsは鶏胚の神経櫛および網膜色素上皮の組織培養を行い,これに電子顕微鏡的観察を加え,未熟なメラニン顆粒は細胞質内で多中心性に,即ち彼のいうPigmentbildungszentrenで形成され,それらは核,ミトコンドリアおよびゴルジー野のいずれとも異なるとした.

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© 1964 日本皮膚科学会
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