いわゆる膠原病のうち，エリテマトーデスと鞏皮症については，皮膚顕微鏡による皮膚血管の観察は古くから行なわれてきた．しかし，それらは概して，検索例数が少なく，観察部位も爪廓のほかには，ごく限られていた．また，2つの疾患における所見をまとめ，これらの比較を意図したものもない．皮膚菌炎については，この種の研究はきわめて少ない．筆者はいわゆる膠原病のうち，エリテマトーデス，皮膚菌炎および鞏皮症の3疾患を対象とし，主として皮疹における末梢血管の状態を皮膚顕微鏡的に観察・記録し，それらの治療を伴う動きや薬力学的薬物に対する反応なども追求した．得られた成績は，各疾患ごとにこれをまとめ，相互に比較・検討した．
