抄録
皮膚感染症における補体の役割を知るため,細菌や Virus 感染症,感染アレルギー性,その他2~3の炎症性疾患患者について,とくに皮膚炎症病状の経過を追って,血清の全溶血活性や補体成分値を測定した. その結果,全補体溶血活性(CH50値)は,一般に炎症病状の増悪と一致して上昇し,軽快につれてもとに復帰した.また一部の症例では皮疹の発現又は急性増悪の直前直後にごく一過性の低下を認めた.かかる病状および CH50 値の変動を補体成分値と比較すると, C4, C3, C9 など early およびlate component の両者が一致して変動するものと, C3, C9 など late component が変動するものなど,少なくとも2つの patternがみられた.