1976 年 86 巻 12 号 p. 815-
正常皮膚で,皮表脂質と transepidermal water loss(以下 TWL と略す)との関係を研究した. 1.正常人総計63名を対象とした, casual lipids 量ならびにreplacement lipids 量は重量法で squalene,cholesterol はガスクロマトグラフィー法にて定量した.TWL 量は electric hygrometry 法にて定量した. 2.正常人皮膚において casual lipids 量または replacementIipids 量と TWL 量との間に統計学的に有意の負の相関が成立した. 3. Squaleneとcholesterol の生化学分析により,表皮由来脂質のマーカー脂質である casual total cholesterol 量と TWL 量との間に有意の負の相関が成立することを証明した.以上より,皮膚からの水分蒸発を防ぐ作用を営むものに,従来いわれていた角質糖リポ蛋白に加え,角質層に含有されている表皮由来脂質が一役演じていると結論した.