日本皮膚科学会雑誌
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器官培養による天疱瘡抗体の研究
越山 陽二
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1980 年 90 巻 7 号 p. 589-

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抄録

天疱瘡患者血清中に証明される天疱瘡抗体の同症の成立に対する役割を検討するために,正常人皮膚の器官培養を行い,これに患者血清を加えた血清添加群と,患者血清を粗精製して得た r-g1 分画を加えた r-g1 分画添加群とにつき,経時的に組織学的,免疫学的変化を比較した.血清添加群では4例の血清中3例に表皮内水疱を認めたものの表皮細胞融解現象もかなりの程度観察された.一方 r-g1 分画添加群では7例中4例に棘融解性水疱を認め,又表皮細胞の変性は軽微であった.培養皮膚片の蛍光抗体直接法では,両群共全例に表皮細胞間に IgG の沈着を認めた.この沈着は培養24時間までに完成し,次いで組織学的変化を生じた.一方 C3 の沈着は少なくとも蛍光抗体法では両群とも全例に於て認められなかった,なお落葉状天庖術より粗精製した r-g1 を加えた系では,1例ではあるが組織学的に尋常性天疱瘡と同様の組織変化を認めた.

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© 1980 日本皮膚科学会
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