日本皮膚科学会雑誌
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PAM212細胞における天疱瘡,類天疱瘡抗原発現のγ-interferon(γ-IFN)による増強効果
杉田 泰之長谷 哲男池澤 善郎
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1988 年 98 巻 3 号 p. 323-

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抄録

flow cytometryは細胞表面の抗原性の解析に非常に有用なmethodであるが,この方法で表皮細胞の尋常性疱瘡(PV)や水疱性類天疱瘡(BP)の抗原を測定する場合,細胞を分散化させる過程での抗原の分解,非特異的蛍光などの点で正確な測定が困難であるとされていた.今回我々はマウス表皮角化細胞由来のPAM212細胞を用い,生細胞集団だけを測定対象とすることで死細胞の非特異的蛍光を除外し,trypsinなどの蛋白分解酵素を用いない物理的な細胞分散法を用いて細胞処理過程で細胞表面の抗原性の減少を最少限に抑え,より正確にPV,BP抗原を測定した.その結果mouse recombinant γinterferon(MR-γIFN)によってこれらの抗原性が増強することを確認した.これまでPVやBPの病因については体液性免疫の立場から自己抗体の果す役割について多くの研究がなされてきたが,今回,T細胞のlymphokineの一つであるγ-IFNによってPV,BP抗原の増強が確認できたため,これらの疾患におけるT細胞性免疫の関与の可能性を含めて若干の考察を加えた.

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© 1988 日本皮膚科学会
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