日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
線維肉腫細胞の局所浸潤機構(II)線維肉腫細胞のプロテアーゼ活性に及ぼすコラーゲン及び,フィブリンの影響について
栗田 依幸中尾 裕史高森 建二小川 秀興
著者情報
ジャーナル 認証あり

1988 年 98 巻 6 号 p. 643-

詳細
抄録
線維肉腫細胞(HT-1080)の機能と周辺組織構成マトリクスとの相関関係を,線維肉腫細胞が産生するlysosomal protease活性を指標として検索し,線維肉腫の局所浸潤・増殖機構を考察した.HT-1080株をコラーゲンまたはフィブリン存在下に培養後,その細胞内cathepsin B及びhemoglobin(Hb)-hydrolase活性を測定し,これら間質成分を含まず培養した系と比較した.Hb-hydrolase活性はコラーゲンあるいはフィブリン添加培養により影響を受けなかったが,cathepsin B活性はこれらの間質成分の影響を受けて有意な活性上昇を示した.対照として用いた同系の正常細胞である皮膚線維芽細胞においては,間質成分いずれの添加培養後もHb-hydrolase,cathepsin B活性ともに変化を示さなかった.以上より,①腫瘍細胞は,コラーゲンやフィブリンなどの周辺間質高分子構築物の影響を受け,②それらを分解・崩壊させ得るようなプロテアーゼ活性を高め,③そのプロテアーゼを有効に放出しつつ腫瘍細胞の浸潤・増殖を容易ならしめているとの機序が示唆された.
著者関連情報
© 1988 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top