本研究はトレッドミル上での歩行における固有感覚系・触覚系からの重心動揺フィードバック情報が,身体バランス制御の機能向上に貢献するか否かを検討した.若年者13名,高齢者22名を被験者とし,手指先の固定点への微小な力(2N以下)での接触(ライトタッチ:LT条件)が,歩行バランスに及ぼす効果を検証した.さらに,自由に固定点に力を加えることのできるフォースタッチ(FT)条件との比較も行った.その結果,若年者群ではLT条件にて左右方向の身体重心動揺が有意に減少した(p < 0.05).さらに,LT条件はFT条件よりも重心動揺の減少が有意に大きかった(p < 0.05).高齢者群においても同様にLT条件において有意に身体重心動揺が減少した(p < 0.05).また,身体重心加速度と指先接触力の2階微分の時系列変化に時空間的関連性が認められた.以上の結果より,上肢の固有感覚及び指先触覚による重心動揺フィードバック情報によって,歩行バランスが安定することが明らかとなった.