デサントスポーツ科学
Online ISSN : 2758-4429
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研究論文
  • 成瀬 正俊, 後藤 一成
    2026 年47 巻 p. 3-12
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究では,身体活動量と有酸素性運動が高脂質食摂取後の血中中性脂肪濃度と血管内皮機能に及ぼす影響を検討した.健常成人6名を対象に,以下の3条件で5日間の実験を実施した:不活動 (≦5,000歩/日),不活動+運動,活動 (≧10,000歩/日) +運動.初めの2日間は全条件5,000-7,500歩/日とし,次の2日間は各条件の活動量とした.4日目午後に60分間の自転車運動を実施 (運動条件のみ),5日目朝に脂質負荷試験を行い,食後生理応答を6時間後まで評価した.血清中性脂肪濃度は,活動+運動条件において不活動条件よりも平均34%低値を示した (p<0.05).血管内皮機能は,不活動条件で食後2,4時間後に有意に低下した (p<0.05).また,活動+運動条件で食後2時間後に不活動条件よりも高値を示した (p<0.05).不活動+運動条件では,他条件との有意な差が認められなかった.有酸素性運動が食後高脂血症や血管内皮機能低下を軽減する効果は,日中の身体不活動によって制限される可能性が示唆された.

  • 福家 真理那, 樽味 孝, 東本 翼, 稗田 道成
    2026 年47 巻 p. 13-23
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー
    運動強度によって左室と動脈の循環生理学的挙動が動的に変化するため,大動脈インピーダンスの左室駆出への影響は運動様式や運動習慣により差異が生じると考えられる.本研究では,運動の急性効果として,ハンドグリップおよび自転車運動時の大動脈インピーダンスと左室のエネルギー動態の関係 (課題1),および慢性効果として持久系Athleteにおけるこれら指標の特性 (課題2) を検討した.課題1では,ハンドグリップ運動で拍動性の高いインピーダンスが増加し,心筋酸素需要や機械的エネルギーの増加と関連していた.一方,自転車運動ではインピーダンスは全体的に低下したが,左室の指標との明確な関連はみられなかった.課題2では,Athleteは拍動性の高いインピーダンスが低く,心筋酸素需要の低さと関連していたが,機械的エネルギーには特異的な特徴は認められなかった.以上より,大動脈インピーダンスは運動様式や運動習慣に依存して左室-動脈カップリングに影響を与えることが示唆された.
  • 鳥山 実, 伊藤 創, 居倉 怜央, 廣田 智弘, 三上 幸夫
    2026 年47 巻 p. 24-31
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    目的 本研究は超音波を用いた皮下脂肪厚および筋の質的評価の妥当性を検証し,さらにそれらと生体電気インピーダンス分析 (Bioelectrical Impedance Analysis:BIA) によるPhase Angle (PhA) との関連性を明らかにすることを目的とした. 方法 対象は当院においてCT検査が施行された21名 (男性16名,女性5名) とした.大腿部,上腕部,腰部において超音波画像による皮下脂肪厚 (US-SFT) およびCT画像による皮下脂肪厚 (CT-SFT) を測定した.大腿部ではエコー輝度 (Echo Intensity:EI) およびCT値を算出し,PhAとの関連性を検討した.統計解析にはピアソンまたはスピアマンの相関係数を用いた. 結果 US-SFTとCT-SFTとの間には非常に強い正の相関が認められ,超音波による皮下脂肪厚測定の妥当性が確認された.また,下肢PhAとUS-SFTおよびCT-SFTとの間には有意な負の相関が認められ,局所的な皮下脂肪厚とPhAの関連が明らかとなった.筋の質的評価では,CT値はPhAと有意な正の相関を示した一方,EIとの関連は限定的であった. 結論 US-SFTはCTに近い精度で皮下脂肪厚を評価可能であり,特にBIAが使用困難な四肢切断者などにおいて有効な代替指標となる可能性が示された.一方で,筋の質的評価においてはCTの優位性が示唆され,目的に応じた評価手法の選択が求められることが明らかとなった.

  • 渡邊 裕宣, 渋谷 賢, 杉 泰佑, 永島 計
    2026 年47 巻 p. 32-45
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    ヒトの熱知覚は環境適応に重要な役割を果たしており,温冷感と熱的快適感の2要素に分類される.本研究では,脳波測定とダイポールおよび事象関連スペクトラム摂動解析を組み合わせて,熱知覚形成に関連する脳活動の時空間パターンを解明した.実験1では局所的な冷・温刺激による温冷感の脳活動パターンを,実験2では全身と局所の温熱刺激の組み合わせによる熱的快適感の脳活動パターンを検討した.その結果,温冷感では右前中心回,楔前部,内側前頭回などの重複する脳領域が活性化し,冷・温刺激間で異なる時間的活動パターンを示した.熱的快適感では,上前頭回,内側前頭回,前帯状回,島皮質などが関与し,快適・不快感で明確に異なる時空間活動パターンが観察された.これらの知見は,温熱知覚が特定の脳領域における異なる神経摂動パターンによって処理されることを示唆している.

  • 工藤 慎太郎, 渡邊 貴博, 宮下 敏紀
    2026 年47 巻 p. 46-53
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,Footwearによる足部アーチ制動がランニング中の主観的な「軽やかさ」に与える影響と,その生体力学的要因を明らかにすることを目的とした.実験1では健常成人40名を対象に伸縮性歪みセンサーを用いて足部アーチ変形量を測定し,アーチ制動条件では非制動条件よりも軽やかさの点数が有意に増加した (p = 0.024).実験2では健常成人20名を対象に,軽やかだと評価されたFootwear着用時 (Comfort条件) と軽やかではないと評価されたFootwear着用時 (Non-Comfort条件) の,関節剛性 (DJS),同時収縮指数 (CCI),滑らかさを示すJerkを測定した.その結果,Comfort条件はNon-Comfort条件と比較して,DJS (p = 0.047),CCI (p = 0.044),Jerk (p = 0.010) が有意に低下した.以上の結果より,Footwearによる足部支持が,関節剛性や同時収縮の抑制,動作の滑らかさに寄与し,主観的な「軽やかさ」の向上に貢献する可能性が示唆された.
  • 網代 広治
    2026 年47 巻 p. 54-61
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究では,キトサン (CS) と修飾ポリカーボネート系共重合体PTMCをブレンドすることで,新規の柔軟性と生分解性を備えた高分子材料を開発した.PTMCにはポリオールとして機能する N-メチル-D-グルカミンをグラフト化し,水素結合の強化を目的としたPTTG (poly (TMC-co-TMC-glucamine) ) を合成した.CSとPTTGのブレンド膜は溶媒キャスティング法で作製され,FT-IRおよびTGAによる評価により,波数のシフトやT10の低下が確認され,化学構造および熱安定性の変化が示唆された.力学的性能では,CS75PTTG25の組成において引張強度が16.0±2.6 MPaに向上し,柔軟性も最大55.9±6.6 MPaまで改善された.これらの特性向上のメカニズムについても詳細に検討されている.得られたCS/PTTGブレンド膜は,生分解性と優れた機械的特性を両立し,環境対応型包装材や医療用素材,衝撃吸収材など多用途への展開が期待される.

  • 内藤 貴司, 林 聡太郎, 斎藤 辰哉, 斎藤 篤司
    2026 年47 巻 p. 62-71
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究は,暑熱下運動におけるペルチェ素子による頚部冷却とアイススラリー摂取による体内冷却を比較し,その有用性を明らかにすることを目的とした.健常男性8名を対象に,①体内冷却 (INT試行) と②頸部冷却あり (NECK試行) のランダム化比較試験を実施し,自転車エルゴメーターによる45分間の運動を行った.運動中の直腸温,鼓膜温,平均皮膚温,心拍数,温熱感覚,温熱不快感,主観的運動強度,全身反応時間を評価した.結果として,NECK試行では頸部の皮膚温が運動開始5分後以降で有意に低下したが,運動後半時の直腸温は高値を示した.温熱感覚は運動開始から20分目まで有意に改善されたが,40分目ではINT試行が有意に低値を示した.温熱不快感や主観的運動強度,全身反応時間にも有意な差は認められなかった.これらの結果から,ペルチェ素子による頸部冷却は短時間の温熱感覚改善には有効であるものの,深部体温の抑制には限界があることが示唆された.暑熱障害の予防には,より広範囲の身体冷却や体内冷却を組み合わせる必要があると考えられる.

  • 横山 寛子, 逸見 瑠生, 千々松 雅人, 津田 英一
    2026 年47 巻 p. 72-79
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,高校生女子バスケットボール選手を対象に,ウェアラブル慣性センサーを用いて競技中に膝関節に生じる衝撃を定量的に評価し,利き脚と非利き脚における特徴を明らかにすることである.対象は高校生女子バスケットボール選手8名とし,3対3または4対4の練習中に両側脛骨粗面部に慣性センサーを装着して加速度を測定した.合成加速度が20Gを超える動作を高衝撃動作と定義し,その発生回数およびプレータイム1分あたり頻度を算出した.統計学的解析として高衝撃動作をストップ,スプリント,減速などに分類し,その頻度を利き脚・非利き脚で比較した.利き脚と非利き脚で高衝撃動作の頻度に有意差はなく,両側ともストップ,スプリント,減速に高衝撃動作が多くみられた.本研究によりバスケットボール中の高衝撃動作について,利き脚および非利き脚における片側優位性は認められなかったが,バスケットボール特有の急激な加速・減速動作において膝関節衝撃を増大させることが示唆された.

  • 渡邊 裕宣, 永島 計
    2026 年47 巻 p. 80-90
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    熱中症予防には深部温 (Tcore) のモニタリングが重要であるが,従来のTcore測定および予測モデルには限界がある.本研究では,スマートウォッチ型ウェアラブルセンサーへのモデル搭載を最終目標として,前腕皮膚温 (Tforearm) と生理 (心拍数,運動時間) ・環境 (環境温度,湿度),個人パラメーター (性別,体格指数) を変数とした新しいTcore予測モデルを開発することを目的とした.若齢成人12名を対象とし,Tcoreの指標として耳内温 (Tear) の予測モデルを,環境温度35℃,相対湿度60%の管理された暑熱環境下での多段階トレッドミル運動において各変数を重回帰分析に投入し,モデルを開発した.実測Tearと予測Tearの一致度は,級内相関係数 (ICC2,1) とBland-Altmanプロット解析によるBiasを算出し評価した.重回帰モデルを暫定的に構築し,体温調節反応の変化が顕著となったTear =37.5℃の変曲点前後でモデルを再構築することで予測精度が向上した (I2,1 0.968, P < 0.001; Bias = 0.001).各対象者のパラメーターをモデル式に当てはめると,ICC2,1は0.861-0.995 (all P < 0.001),Biasは, -0.136-0.097の範囲であった.これらの結果は,Tforearmを用いた予測モデルがTcoreのリアルタイムセンシングに一定の実用的なアプローチとなる可能性を示唆している.

  • 木村 裕也, 横澤 俊治
    2026 年47 巻 p. 91-106
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究は,ワイヤレス式インソール型足圧センサを使用してブレード反力を推定し,実際のレースにより近いパフォーマンス発揮時での,滑走中における下肢の関節トルクおよび関節トルクパワーの特徴を明らかにすることで,高い滑走速度獲得およびより良いゴールタイムのために必要な力学的要因を解明することを目的とした.熟練選手16名を対象に模擬レースを実施し分析を行った結果,ゴールタイムが優れ,滑走速度の高い成績上位選手は,ストレート滑走およびカーブ滑走右下肢の股関節・膝関節伸展トルクパワーが大きく,さらに,カーブ滑走右下肢の股関節外転トルクパワーも大きかった.これらのパワー発揮がより良いパフォーマンスのためには重要であることが示唆された.加えて,カーブ滑走右下肢の足関節底屈および左下肢の膝関節伸展トルクパワーは男女で傾向が異なり,特に女子ではこれらのパワー発揮も重要である可能性が示唆された.

  • 小宮 諒, 竹下 康文, 松田 翔太, 中井 雄貴, 江玉 睦明
    2026 年47 巻 p. 107-115
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    足部形態評価はスポーツ障害予防に有用であるが,医療従事者向けの足部形態評価の指標を現場で運用するには課題がある. 本研究ではDeep Learningを用い,足部形態評価の指標であるFoot posture indexの後方写真から判別できる指標を参考に内転・外転・内反・外反・通常の5つの足部形態を識別するモデルを開発した.750枚の画像を学習 (70%) ・検証 (20%) ・テスト (10%) に分割して開発と検証を進めた.適合率はエポック数の増加に伴い上昇し,損失関数は同様に減少する傾向を示し,適切にモデルが学習したことが確認され,mAP50-95=0.72,mAP50=0.82と高精度を示した. 通常の足部画像の分類は正答率:0.26と低くなり精度の向上の必要性が課題にあがったが,4つの足部形態 (内転,外転,内反,外反) は,正答率が0.69~1.00と実用可能な精度であることが確認された.

  • 山川 啓介
    2026 年47 巻 p. 116-126
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    近年提案されている運動学―筋シナジー解析は,筋シナジーの実空間における機能的役割を推定できる手法である.本研究の目的は,この手法を用いて,競泳選手の水中ドルフィンキックに関与する筋シナジーの空間的な役割を明らかにすることであった.本研究には女性競泳選手8名が参加し,15 mの全力水中ドルフィンキック泳を実施した.その際,運動学的データおよび筋電図データを収集した.混合因子分解アルゴリズムを用いて,筋電図とセグメント角度データの双方から1周期の動作に関与する運動学―筋シナジーを抽出した.その結果,4名は3つのシナジー,残る4名は4つのシナジーを用いて動作を制御していたことが明らかになった.抽出シナジーのグループ化の結果,ダウンキックの前半に活性するSynergy 1,ダウンキックからアップキックの切り替えしに活性するSynergy 2,アップキックの中盤に活性するSynergy 3,アップキックの後半の体幹動作に関与するSynergy 4の4つのシナジーに分類できた.そのため,競泳選手における水中ドルフィンキックの動作は,主に筋シナジーに関連する4種類の協調動作によって達成していることが示唆された.

  • 高橋 祐美子, 松本 竜弥, 八田 秀雄
    2026 年47 巻 p. 127-136
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    骨格筋の不活動は筋量の低下,ミトコンドリアの機能変容を引き起こす.一方,我々は,マウスにおいて後肢不活動期間中に前肢を中心とした走行運動を実施することで,後肢筋の萎縮の抑制やミトコンドリア適応が誘導されることを確認した.本研究では,両後肢不活動下における前肢を中心とした走行運動の実施が,ギプス固定解除後の後肢ヒラメ筋に与える影響を検討した.  雄性ICRマウスを,安静群 (CON群),14日間の後肢ギプス固定後に3日間の固定解除期間を設けた不活動回復群 (R群),および固定期間中に前肢を中心とした走行運動を行った後に固定解除期間を設けた群 (ER群) の3群に分けた.介入終了後,ヒラメ筋を採取して解析した.その結果,ヒラメ筋の全体の横断面積およびミトコンドリア関連タンパク質量は,CON群と比較してR群,ER群にて有意に低値を示した.一方,タイプIIaおよびIIx/b線維の横断面積は,CON群と比較して,R群にて有意に低い値を示したが,CON群とER群の間に有意な差は認められなかった.このことから,ギプス固定期間中の運動介入は不活動肢に対して,固定解除後に筋線維タイプ特異的な適応をもたらす可能性が示唆された.

  • 沖田 孝一
    2026 年47 巻 p. 137-143
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    近年,筋血流制限を併用した低負荷運動は神経疾患や運動器疾患を持つ患者のリハビリテーションなどに利用されてきている.本研究は,血流制限を併用したレジスタンス運動が多様な臨床現場に応用できるように,有効な筋肥大・筋力増加効果を得るための負荷強度の違いを考慮した有効閾値・運動量について検討することを目的とした.健常大学生20名に最大挙上重量 (1-RM) の10%から40%まで4段階の負荷強度を用いて,120秒・60回の血流制限を併用した下腿三頭筋の底屈運動を行わせ,筋内エネルギー代謝を測定した.さらに有効なトレーニング効果が得られる65%1-RMでの運動 (血流制限なし) および血流制限下20%1-RMと比較し,有効閾値を検討した.その結果,運動時間・回数を固定した血流制限下のレジスタンス運動において標準的な効果を得るには20%1-RM以上の外的負荷が適当であることが示された.しかしながら,10%1-RMにおいても,通常は効果が乏しいと考えられる血流制限を併用しない20%1-RMより強い筋内代謝ストレスが得られることから,効果が得られる可能性も示唆された.

  • 西川 太智, 竹田 良祐, 唐木 茉里乃, 渡邊 航平
    2026 年47 巻 p. 144-154
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究は,爆発的筋力の発揮において外側広筋を対象により多くの運動単位を検出することを目的とし,外側広筋における高密度表面筋電図法による運動単位検出数と電極下の解剖学的特徴との関連を検証した.若年成人12名を対象に,外側広筋の近位・中位・遠位部における皮下組織厚および皮膚表面と筋束の角度を評価し,各部位で高密度表面筋電図を記録した.その結果,爆発的筋力の発揮中における運動単位検出数は中位に比べて近位および遠位で有意に多く (p<0.001),検出数は皮下組織厚および皮膚表面と筋束の角度と有意な負の相関を示した (p<0.01).これらの結果から,外側広筋皮膚表面の近位または遠位への電極貼付が爆発的な膝伸展筋力発揮中の運動単位活動を評価する上で有用であることが明らかになった.また運動単位活動を評価するにあたって,電極下における解剖学的特徴を考慮することの重要性が示唆された.

  • 中井 雄貴, 渋沢 良太, 竹下 康文
    2026 年47 巻 p. 155-162
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究では,ランニング前後の筋膜の滑走性・足関節背屈柔軟性・ジャンプ能力の変化量と,主観的疲労感 (VASスコア) の変化量との関連性を検証することを目的とした.筋膜の滑走性は超音波エコーを用いて下腿の筋膜と筋の動画を撮影し,相互相関係数を算出した.参加者は大学陸上長距離選手17名であり,各指標のランニング前後の差分 (⊿) を用いてLasso回帰分析を実施した.交差検証の結果,最適な正則化パラメータ (α) は0.163と決定され,⊿滑走性係数の標準化回帰係数が0.271と最も高く,VASの変化に対する寄与が大きいことが示された.これにより,滑走性の低下が主観的疲労感の増大に強く関与している可能性が示唆された.本研究は,疲労を客観的に捉える指標として滑走性の評価が重要な役割を担うことを示す初期的な知見を提供するものである.

  • 北川 芙南, 田中 憲子, 秋間 広, 小池 晃彦, 三戸 詠里加
    2026 年47 巻 p. 163-171
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究では,女性における体幹部筋内脂肪蓄積度の1年間の変化と関連する因子を年代別に明らかにすることを目的とした.若齢群12名 (年齢:19.4±1.3歳,体格指数:20.0±2.6 kg/m2),高齢群18名 (年齢:72.7±3.1歳,体格指数:21.8±2.7 kg/m2) を対象とし,磁気共鳴画像法を用いて,第3腰椎レベルにおける筋内脂肪蓄積度を測定した.空腹時の血液採取により血液性状を評価し,質問紙法を用いて身体活動量および栄養摂取状況を推定した.これらの項目を,1年の間隔を空けて計2回測定した.その結果,各項目の変化率 (Δ) のうち,若齢女性のΔ筋内脂肪蓄積度は,Δ総エネルギー消費量,Δタンパク質とΔ炭水化物のエネルギー比率と有意な相関関係 (r = -0.726 ~ 0.642) を示した.高齢女性のΔ筋内脂肪蓄積度は,Δ脂質およびΔ飽和脂肪酸のエネルギー比率と有意な相関関係 (r = 0.516および0.523) を示した.以上の結果から,女性の体幹部筋内脂肪の蓄積は,日常における身体活動量や主要栄養素のエネルギー比率と有意に関連することが示された.

  • 森嶋 琢真, 笠井 信一
    2026 年47 巻 p. 172-179
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,8週間の高強度インターバルトレーニング (HIIT) が座位による血管内皮機能の低下を抑制するか否かを明らかにすることとした.

    方法:普段余暇的に運動している健康な若年男女21名を対象とし,無作為にコントロール群 (CON群) 10名およびトレーニング群 (TR群) 11名に分類した.TR群には,週4回・8週間の自転車エルゴメーターおよび自体重を用いたHIITを介入した.介入期間前後において,3時間の座位テストを実施し,座位前後における膝窩動脈の血流依存性血管拡張反応 (FMD) を測定した.

    結果:介入期間前後において,両群とも3時間の座位後に膝窩動脈FMDは有意に低下した (P < 0.05).一方で,介入期間後における座位後の膝窩動脈FMDはTR群がCON群に比較して有意に高値を示した (P < 0.05).この群間差は,介入期間後における座位前の膝窩動脈FMDを共変量として補正した際にも同様に認められた. 結論:以上の結果から,8週間のHIITは座位による血管内皮機能の低下を予防できないものの,その低下を軽減することが明らかになった.

  • 染谷 由希, 塩田 有規, 髙澤 祐治, 和田 武久
    2026 年47 巻 p. 180-188
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    [背景]知的障害を有するアスリートを対象としたスポーツ外傷・障害,疾病の調査はほとんど行われていない.本研究は,スペシャルオリンピックスアスリートにおけるスポーツ外傷・障害,疾病の発生率と特徴を明らかにすることを目的とした.

    [方法] 2024年第8回スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲームおよび2025年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・トリノに参加したアスリート総計503名,アスリートと一緒にスポーツを行うユニファイドパートナー (健常者) 総計30名を対象とし,スポーツ外傷・障害,疾病の発生件数,1000Athlete-daysあたりの発生率,発生の機序や様式などを調査した.

    [結果] 調査期間中 (ナショナルゲーム6日間,ワールドゲーム7日間) に合計31件の外傷と疾病 (Any complaint) が発生した.1000Athlete-daysあたりの発生率はナショナルゲーム9.6,ワールドゲームのアスリートで93.8,ユニファイドパートナーで83.3であった.そのうち,スポーツ活動を中止せざるを得ないTime-lossの外傷と疾病はナショナルゲームで2件 (2.1/1000 Athlete-days ),ワールドゲームで4件 (21.7/1000 Athlete-days) 発生し,いずれもアスリートのみあった.Time-loss以外の外傷と疾病では,発生機序や臨床所見が不明確な訴え,気分・感情障害や既往症の悪化も確認された.

    [結論] 知的障害アスリートにおけるスポーツ外傷・障害,疾病は,重症例から既往歴の悪化まで多岐にわたった.

  • 塩瀬 圭佑, 冨賀 理恵, 内藤 貴司, 藤田 英二
    2026 年47 巻 p. 189-199
    発行日: 2026/02/19
    公開日: 2026/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究では,カーボローディングが体水分状態および暑熱環境下運動時の体温変動に与える影響を調査した.成人男性10名は,標準食 (CON条件, 炭水化物 6.1±0.5 g/kg 体重/日) または高糖質食 (CL条件, 炭水化物 11.2±0.6 g/kg 体重/日) を3日間摂取した.体水分量を安定同位体希釈法用いて測定し,温度31℃,相対湿度70%の下,60%VO2max強度で40分間の自転車運動を行った.運動前および運動中10分ごとに直腸温 (Tre) と平均皮膚温 (Tsk) を測定した.運動前後の体重差から発汗量を算出し,運動前の体水分量から減じて運動後の体水分量を推定した.運動前の体水分量はCL条件で有意に高かった (p<0.05).TreおよびTskは運動中に上昇したが,条件間差は認められなかった.発汗量に差はなく,運動後の推定体水分量はCL条件の方が高値であった (p<0.05).以上より,カーボローディングは暑熱環境下運動時の体温変動には影響を及ぼさないが,運動中の体水分量の保持に寄与する可能性が示唆された.

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