本研究では,先行研究において報告されている二関節筋の量的適応におけるトレーニング動作依存性をもたらす要因について,多関節運動時の筋活動様相の観点から検討した.実験1では,12名の健常男性が疲労困憊に至るまで高強度でのレッグプレスを実施し,そのときの大腿部骨格筋の筋活動量を表面筋電図法により定量した.実験2において,磁気共鳴画像法により,低負荷と高負荷の条件下でレッグプレスを行った前後における大腿部骨格筋の横緩和時間(T2)を算出した(N = 5,2つの条件を別日に実施).実験1の結果,疲労とともに単関節筋である外側広筋と内側広筋の筋活動量が増加した.一方,二関節筋に関しては,大腿二頭筋を除き変化がみられなかった.実験2において,レッグプレスにより,大腿四頭筋を構成する単関節筋のT2値が増加したものの,二関節筋のT2値に変化がみられなかった.以上の結果は,多関節運動時の筋活動様相は,単関節筋と二関節筋の間で異なることを示唆している.