2019 年 40 巻 p. 146-154
【背景】自体重スローレジスタンス運動(Body Weight Resistance Exercise with slow movement, BWRE-slow)は筋力や筋機能の向上に効果的であることは報告されているが,エネルギー代謝やエネルギー消費量に関しては検討されていない.本研究はBWRT-slow中および終了後30分間のエネルギー消費量,呼吸交換比,心拍数,乳酸濃度を,運動中のエネルギー消費量を同等に揃えたウォーキングと比較することとした.【方法】8名の若年男性(23.4±1.8歳, 171.2±6.2cm, 63.0±4.8kg)は,スクワット,プッシュアップ,ランジ,ヒールレイズ,ヒップリフト,腹筋の6種目を上記の順番に3セットずつ実施した.実施速度は挙上・降下ともに3秒(往復6秒)とし,1セット10回,セット間休息を30秒とし,合計3セットずつ実施した(合計26分30秒).別日に運動時間,運動中のエネルギー消費量をBERT-slowと同等に揃えたトレッドミルウォーキング (TW) を実施した.【結果】BWRT-slowは平均3.1メッツで,運動中のエネルギー消費量は条件間に差を認めなかった(BWRT-slow; 92.6±16.0, TW; 95.5±14.1kcal, P=0.36).運動後30分間のエネルギー消費量はBWRT-slowがTWよりも有意に高かった(40.55±3.88kcal for 30-min) than TW (37.61±3.19kcal, P=0.029).運動終了直後(0-5分)の呼吸交換比は,BWRT-slowがTWよりも有意に高かったが,運動後30分間の終盤(25-30分)においてはTWよりも有意に低く,エネルギー基質として脂質酸化量が高かった.【結論】若年男性においてBWRT-slowは平均3.1メッツの中等度強度に相当する身体活動であることを示した.